研究課題/領域番号 |
20K16398
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
西野 将矢 近畿大学, 医学部, 助教 (40709664)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 肺癌 / EGFR変異陽性肺癌 / EGFRエクソン20挿入変異 |
研究実績の概要 |
進行・再発EGFR変異肺がんに対する第一選択薬は、EGFRキナーゼ阻害剤(EGFR-TKI)である。しかし、EGFR変異肺がんの約4%を占めるエクソン20挿入変異を有する肺がんは、現在臨床応用されているEGFR-TKIに耐性を示すことが知られている。 昨年度までの解析で、マウスpro-B細胞であるBa/F3細胞に、頻度の高い5種類のEGFRエクソン20挿入変異(A763insFQEA、V769insASV、D770insSVD、H773insH 、H773insNPH)を有するEGFR遺伝子を導入し、poziotinib とtarloxotinib-Eの治療効果を検討していた。これら2種類のinvestigational drugsはEGFRエクソン20挿入変異モデルに対し高い治療効果を示したため、本年度は、これらの薬剤が効かなくなる獲得耐性機序について、ENUを用いた薬剤曝露実験によりさらなる検討をおこなった。その結果、C797SおよびT790M 2次的変異が耐性変異として検出され、もとのエクソン20挿入変異の種類によって、どちらの2次的変異が生じやすいかに偏りがあった(Nishino et al. Thorac Cancer. 2021)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
EGFRエクソン20挿入変異を有する肺癌モデルに対して有効性を示す薬剤の探索と獲得耐性をもたらし得る2次的変異を同定した。しかし、新型コロナウイル感染症蔓延の影響を受け、臨床業務が増加したため、当初予定した研究計画に遅延が生じている。
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今後の研究の推進方策 |
EGFR エクソン20挿入変異を有する肺がんに対しては、本研究を開始した後に開発が進んだmobocertinibの有用性が示され、米国ではすでに承認されている。今後は、当科で樹立済みのEGFR エクソン20挿入変異モデルを活用して、mobocertinibやその他の有望な新規薬剤に対する獲得耐性機序の探索を予定している。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症蔓延等の影響で想定より研究の進捗が遅れており、次年度に研究費持ち越しとしたため、次年度使用額が発生した。次年度使用額はEGFRエクソン20挿入変異に対する耐性化二次変異克服のための薬剤感受性評価に使用予定である。
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