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2021 年度 実施状況報告書

BAP1シグナルパスウェイ上の分子を用いた悪性中皮腫診断・治療法確立の基礎的検討

研究課題

研究課題/領域番号 20K16399
研究機関兵庫医科大学

研究代表者

木村 美智  兵庫医科大学, 医学部, 非常勤講師 (80867804)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2024-03-31
キーワード悪性中皮腫 / BAP1 / NCOR1
研究実績の概要

悪性中皮腫(Malignant Mesothelioma:MM)は化学療法等治療抵抗性で極めて予後不良の腫瘍である。本腫瘍ではBAP1の高頻度変異が生じる。所属研究室では、BAP1野生型患者においてBAP1シグナルパスウェイ上の転写調節因子であるNCOR1の欠失が20%程度生じることを見出した。NCOR1変異がMM発症へ及ぼす影響を検討することにより、MMの早期診断や治療法確立に役立てることを目的とする。
本課題期間中、NCOR1のMM病態への関与を①in vitroレベル(MM細胞株)②in vivoレベル(Ncor1変異導入マウス)③前臨床POC(proof of concept)レベル(患者由来生体試料、薬剤探索)で検証する。
これまでの実績は①NCOR1ホモ欠失のMM細胞株でWestern BlottingにてNCOR1タンパク発現消失を確認、また作製変異導入マウス胸腔から中皮細胞を採取することも試みた。中皮細胞採取は、細胞を採取後すぐに培養し増殖を確認後すぐWT1陽性細胞のみを分取し培養した。②Ncor1コンディショナルノックアウトマウスを作製した。すなわち、Ncor1の一部exonをCre/loxPシステムによりノックアウトするため、該当exonを挟み込むよう2個のloxP配列を同方向に配置している。系統樹立・維持として、野生株のC57/BL6との戻し交配後、継代維持を行い、受精卵を凍結保存する準備中である。③臓器特異的NcoR1ノックアウトマウスの作製例として、膵臓特異的Cre発現マウスと交配し、膵臓特異的にNcoR1がノックアウトされていることを確認した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

①中皮細胞を採取した結果50%ほどがWT1陽性細胞だったが、実験に使用できる細胞数の回収には至っていない。②1回目ののマウス作製でCre/loxPシステムによりNcor1の一部exonをノックアウトできるマウスが得られた。③中皮特異的ノックアウトマウスについては、Creリコンビナーゼ組換えAdendovirusを胸腔投与の練習を行ったが、まだ作製に至っていない。

今後の研究の推進方策

①in vitroレベルでは、中皮細胞においてもNCOR1がBAP1の制御を受けているかについてMM細胞株を用いBAP1およびNCOR1ノックダウンによる遺伝子発現変動を調べる。NCOR1欠損MM細胞株にNCOR1を遺伝子導入し強制発現させたいが、本遺伝子にはエクソン組合せの多様性の高いsplicing variantsが40種以上存在し、どのvariantsを発現させるか検討が必要である。強制発現後1.細胞増殖能の変化、2.DNAダメージ付与後のDNA損傷応答の検出、3.アポトーシス感受性に変化が生じるかなどを解析し、NCOR1のMM発症への寄与度を検討する。
②in vivoレベルでは、floxマウスの数が確保でき次第Creリコンビナーゼ組換えAdendovirusをゲノム編集マウスへ胸腔内投与し、中皮細胞特異的Ncor1ノックアウトマウスを作製し、その機能解析を次年度に着手する予定である。

次年度使用額が生じた理由

ゲノム編集未経験者の設計である為、Cre/loxPシステムでの編集が機能せず再設計でノックダウンに取り組むことも計画していたが、一回のゲノム編集実験で目的マウスを得ることが確認できたので、使用経費が最小限に抑えられた。
また、コロナウイルスの感染予防として学会がオンライン開催になったので旅費支出がなくなった為、次年度使用額が生じた。
次年度使用額はマウス飼育費及び研究に必要な消耗品などの購入に使用する予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2021

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] The role of NCOR1 mutation during tumorigenesis2021

    • 著者名/発表者名
      木村 美智
    • 学会等名
      第44回日本分子生物学会年会

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公開日: 2022-12-28  

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