研究課題/領域番号 |
20K16414
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
浅井 歩 大阪大学, 産業科学研究所, 特任助教(常勤) (40783262)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | RNA修飾 / がん / バイオマーカー |
研究実績の概要 |
我々はこれまでに消化器がんにおけるRNA修飾の検出によるがん診断方法を確立してきた。 本研究ではさらに多くのがん種に対して、RNA修飾の検出によるがん診断を適用するために、単分子シーケンサーによるRNA修飾の検出技術の確立及び臨床検体におけるRNA修飾の計測に取り組んだ。 まず、RNA修飾の化学合成品やRNA修飾を含有する核酸配列を用いて、単分子シーケンサーで計測することで、5-methylcytosine(5mC)をはじめとする各種RNA修飾由来のコンダクタンス情報を取得し、無修飾核酸との判別技術を確立した。 また、各RNA修飾の合成品の計測と並行して、様々ながん種の患者検体を集積しており、消化器系がん、婦人科系がん、泌尿器系がんなど計138検体からRNA抽出が完了し、順次、単分子シーケンサーによる計測を進めている。 単分子シーケンサーでの計測を進める中で、以前の質量分析による計測時と同様に、消化器がんで亢進しているlet-7aの19位のN6-methyladenosine(m6A)の検出に成功した。さらに、質量分析では検出することができなかったlet-7a中の他の箇所でも修飾を検出することができ、単分子シーケンサーは質量分析よりも高感度にRNA修飾を検出可能であることが示された。 本研究はRNA修飾技術の発展とRNA修飾に基づくがん診断技術の開発に貢献した。今後は様々ながん種の患者検体におけるRNA修飾を計測することで、がん種特異的なRNA修飾を同定し、RNA修飾によるがん原発巣の特定を可能にする診断技術の開発を目指す。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
①RNA修飾検出技術の確立:5-methylcytosineをはじめとする種々のRNA修飾検出技術を確立した。 ②臨床検体におけるRNA修飾の計測:消化器系がん、婦人科系がん、泌尿器系がんなど計138検体からRNA抽出が完了し、順次、単分子シーケンサーによる計測を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
可能な限り、幅広い条件(がん種、患者背景等)で多くの計測を進め、機械学習や統計解析によってがん種特異的なRNA修飾情報を同定する。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究活動の場所を移転するため、新たな物品の購入を控えていた。 また、新型コロナウイルスの感染拡大を鑑みて、予定していた学会や会議などの参加を取り止め、物品の購入等を見合わせて一部の新たな実験を止めて、現在保有している物品のみで進められる範囲で実験を進めてきた。 次年度では研究活動の場所も定まり、新たな物品の購入も必要となってくるため、感染状況を注視しつつ、人や物品の動きを少しずつ活発化させていく。
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