研究課題/領域番号 |
20K16417
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
緒方 絹子 長崎大学, 病院(歯学系), 助教 (60748672)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 口腔癌 / 蛍光顕微鏡 / 透明化 |
研究実績の概要 |
癌治療において病変の進展範囲を正確に評価することは非常に重要であり、特に口腔癌においては腫瘍の浸潤深度が予後における重要な因子とされている。現在一般的に用いられる画像検査では早期口腔癌の検出が困難なこと、金属アーチファクトを完全に除去できないことの理由から浸潤深度の評価が十分にはできていない。そこで本研究では二光子励起顕微鏡を用いた生体イメージングを利用し、口腔癌の可視化と浸潤深度の評価を目的とした。 まず予備研究として、透明化サンプルを使用し蛍光顕微鏡を用いた3次元評価を行うこととした。その理由は、生体試料の深部イメージングを行う上で最大の障害は光の散乱であること,癌細胞集団における増殖マーカーなどのタンパク発現の分布や癌の中心と周囲における転移マーカーの発現の違いなどの前情報を把握する必要があると考えたためである。予備研究では舌癌から頸部リンパ節転移をきたした症例のリンパ節の摘出検体を用い、リンパ節内での癌細胞の増殖マーカーや壊死巣に着目し細胞増殖と細胞死の関連を精査している。 組織の透明化を行うことで屈折率が均一となり3次元観察がしやすくなるが、一方で組織の収縮や蛋白変性が生じるため、組織によって透明化の方法を調整する必要があることがわかった。予備研究ではCUBIC法という尿素とアミノアルコールを主成分とする手法を用いて正常リンパ節および転移リンパ節の透明化を行った。CUBIC法は組織中の主要な吸光物質であるヘムを除去可能であることと多くの蛍光タンパク質の保存性に優れることを特徴とする。ただしサンプルサイズにより脱脂,脱色期間を調整する必要があり、プロトコールの細かな調整が必要と考えている。透明化が完了したサンプルは、蛍光顕微鏡を用い光学セクショニングとZスタック撮影にて3次元評価を行い、現在解析中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
透明化処理の途中で組織の収縮や断裂によりサンプルを作成するのに時間を要した。また3次元評価を行うにあたって、サンプルの厚みや大きさの設定に時間を要している。
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今後の研究の推進方策 |
舌組織における透明化の手法について、結合組織とヘムが豊富であることをふまえて早急に検討する予定である。そして予備研究の結果を元に、舌の切除検体もしくは舌癌のモデルマウスを用いて、舌癌における増殖マーカーや癌細胞の浸潤様式,癌細胞と周囲正常細胞との関係などを確認し、二光子励起顕微鏡を用いたライブイメージングに応用していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
勉強会や学会がリモート参加となったため旅費が不要であった。予備研究では切除検体を使用したため、モデル作成に要する費用がかからなかった。今年度は予備研究の結果をもとに、モデル作成や腫瘍マーカーの染色を行う予定であり、その費用にあてる予定である。
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