研究課題
2020年度は希少がんPatient-Derived Xenograft (PDX) を用いて、下記2つの研究を行った。(1) 希少がんPDX52株を用いて、治療標的となるバイオマーカーXについてのタンパク発現を免疫染色で評価した。バイオマーカーXの発現を有する希少がんを同定し、バイオマーカーXを標的とする治療薬によるPDXマウスモデルでの薬効評価を行っている。(2) 当センターで樹立された子宮頸部胃型腺がんPDX2株を用いて、治療標的となるタンパク発現(HER2、HER3、PMS2、MSH6、PanTrk)の評価を行った。子宮頸部胃型腺がんPDX2株においてHER3が高発現していた。また、HER2は2株共に1+であった。PMS2とMSH6の欠損やPanTrk発現は認めなかった。さらに、当センターの子宮頸部胃型がんの患者病理標本10検体でHER3の発現を評価したところ、全検体が2+以上の高発現を認めていた。子宮頸部胃型腺がんは化学療法抵抗性を示す予後不良な疾患であるが、HER3を標的とする治療戦略の可能性が示唆された。
2: おおむね順調に進展している
COVID-19による緊急事態宣言の影響にて免疫不全マウスを用いた研究を縮小したが、タンパク発現を中心とした解析を重点的に取り組み、これまでの進捗状況としては、おおむね計画通り研究を進めている。、引き続き検討を継続していく予定である。
今後はタンパク発現の評価以外にも、PDX検体を用いた遺伝子解析を行う予定として準備を進めている。遺伝子異常の同定や遺伝子発現の評価を行うことで、治療の標的となる因子を検討する予定である。
COVID-19による緊急事態宣言の影響にて免疫不全マウスを用いた研究を縮小したため使用予算が変更となった。次年度に実施する遺伝子解析、また,現在準備中の英語論文の英文校正費に支出予定である。
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