本研究は、国立病院機構ネットワーク共同研究「根治照射不能な進行非小細胞肺癌患者における免疫チェックポイント阻害剤の効果予測因子としての栄養/免疫学的指標の臨床的意義に関する前向き観察研究(ICI-PREDICT study)」の附随研究として、123例の血液検体を収集した後に解析を行った。各症例に関して、治療前CT画像にて骨格筋面積を測定する(第3腰椎レベルの骨格筋面積をOsiriXソフトフェアにて測定)。血液中のマイオカインは、Filgen社のMILLIPLEX Human Myokine Panelを使用して15種類を網羅的に測定した。各種マイオカインと治療前骨格筋面積の相関関係、および免疫治療効果や安全性との関係を解析した。まずは、66/123例をFilgen社に提出し、マイオカインの測定を行った。得られた結果は、マイオカインの15種類のうち、10種類は、ほぼ検出感度以下の結果であった。検出感度を超えた5種類のマイオカインは、SPARC(Secreted protein acidic and rich in cysteine)、Osteocrin、FSTL-1、FABP3、BDNFであった。これらのマイオカインと骨格筋量や、免疫チェックポイント阻害薬の効果との関係を解析すると、SPARCが骨格筋量と相関しており、免疫チェックポイント阻害薬の奏効例において高い傾向を認めた。この結果は、第63回 日本肺癌学会学術集会 学術委員会シンポジウムセッションで発表し、論文作成中である。
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