研究課題/領域番号 |
20K16444
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
笹田 伸介 広島大学, 病院(医), 助教 (30711329)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 乳癌 / 画像診断 / マイクロ波 / 3次元画像 / アーチファクト |
研究実績の概要 |
標準的な乳癌検診に使用されるマンモグラフィ検査の欠点を克服すべく、マイクロ波を用いた非侵襲的な新規乳癌検診画像システムの開発を進めている。これまでに非臨床データを蓄積して開発した乳房検査装置を用いて臨床データを蓄積・解析している。人体の多様性に基づくアーチファクトの原因を探索し、アーチファクト除去解析アルゴリズムを作成することにより、検査装置の診断精度の向上と改良を計画している。 アーチファクトの主要な原因として、「皮膚表面からの反射」があることが判明した。対策として、2段階のアンテナ回転方式クラッター抑圧技術を開発した。第1段階は信号選択技術、第2段階は適応フィルター技術である。本技術は、従来のウィーナーフィルターに加えて、事前制約を課すL2正則化を導入したものである。アンテナや送受信チャネルのバラツキ変動は第1段階の信号選択技術で処理され、異なる表面状態のファントム実験や臨床研究データの評価で、表面クラッターを抑圧し、画質を向上できることを実証した。 また、マイクロ波イメージング用ガウシアンモノサイクルパルス(GMP) 送受信装置を65ナノメートルCMOS半導体集積回路技術で開発した。送信器はGMPインパルス半値幅192ピコ秒、周波数帯域5.9ギガヘルツ、消費電力19.79ミリワットで送信する。受信器は102.4 ギガサンプル/秒 等価時間サンプリングが可能で、最少ジッター0.58ピコ秒、入力換算雑音0.24ミリボルト、信号雑音比28.4デシベル、信号雑音歪比26.6デシベル、実効アナログデジタル変換比4.1ビット、消費電力48.87ミリワットである。この送受信装置は大きさ1センチメートルで距離1センチメートル離れた2個のターゲットを共焦点画像アルゴリズムで分離描画できる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
臨床研究登録、臨床データの収集は順調に進んでいる。アーチファクトの原因の1つである「皮膚表面からの反射」の除去アルゴリズムを開発した。
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今後の研究の推進方策 |
アーチファクトの他の原因として、アンテナ・皮膚の不完全コンタクト、アンテナ相互干渉などによるクラッター雑音、があることが判明している。アンテナ形状の改良による様々な乳房形態への対応、アンテナ指向性の調整によるマイクロ波散乱の抑制、ダイポールアンテナによる感度向上を中心に対策と改良を計画する。
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