研究課題/領域番号 |
20K16444
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
笹田 伸介 広島大学, 病院(医), 助教 (30711329)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 乳癌 / 画像診断 / マイクロ波 / 3次元画像 / アーチファクト |
研究実績の概要 |
標準的な乳癌検診に使用されるマンモグラフィ検査の欠点を克服すべく、マイクロ波を用いた非侵襲的な新規乳癌検診画像システムの開発を進めている。これまでに非臨床データを蓄積して開発した乳房検査装置を用いて臨床データを蓄積・解析している。人体の多様性に基づくアーチファクトの原因を探索し、アーチファクト除去解析アルゴリズムを作成することにより、検査装置の診断精度の向上と改良を計画している。 レーダー方式によるデータ解析では、これまで開発した体表面反射抑制のための2段階アンテナ回転方式クラッター抑圧技術に加えて、体動障害信号除去のためのmotion artifact removal(MAR)法を開発した。Cross-correlation法により空間的回転を加えた信号データの内積と相互相関を計算・融合補正することにより、ランダムアーチファクトを除去し、感度を向上することに成功した。最終的に、感度劣化の原因はアンテナ筐体と乳房界面の接触問題にあると判断した。 一方、複素誘電率再構成法を用いたトモグラフィ方式によるデータ解析は、レーダー方式と比較し、検出感度に勝る可能性が示唆されたが、まだ十分な精度には達していない。未知数データ処理により表面は抑圧について検証を進めている。 さらに、人工知能を活用してディープラーニングによる逆散乱解析を行い、アーチファクト除去と腫瘍認識能を向上できるか検討を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
複素誘電率再構成、人工知能を用いたデータ解析を進めていたが、観測データの抽出方法に問題があったことが判明し、再解析を行っている。再解析および確認に時間を要しており、解析段階はやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
Cross-correlation法によるアーチファクト除去アルゴリズムの論文発表を進める。 複素誘電率再構成、人工知能を用いたデータ解析を進め、腫瘍認識能の向上につながるか検討する。 アンテナ指向性の調整によるマイクロ波散乱の抑制について、引き続き検討を進めるとともに、不規則形状の乳房界面の接触を改善するフレキシブルアンテナ筐体の開発を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
データの再解析に時間を要しているため、研究進捗の遅れがあり、予定額の執行が行われなかった。繰り越し分は、次年度に論文作成など研究成果発表のために使用する予定である。
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