我々は先行研究で、マウスの脾臓から分離したCD8+ T細胞をグルタミン代謝を抑制した環境で培養することで、抗原提示を受けた際のT細胞の疲弊を抑制し、悪性腫瘍に対する抗腫瘍活性の高いT細胞を培養する技術を確立した。本研究では、この手法をヒトの末梢血から分離したT細胞に応用する技術を開発することを試みた。 グルタミン代謝を抑制することでT細胞の抗腫瘍活性を高める手法は、培養の効率が著しく低下し、得られる活性化CD8+ T細胞が通常の培養方法に比べて著しく少なくなる問題があった。マウスの系では、脾臓から潤沢にT細胞を分離できるため問題とならなかったが、ヒトに応用する際は末梢血から分離された数に限りのあるT細胞から効率的に活性化CD8+ T細胞を培養する手法を確立することが課題であった。 本研究ではこの条件を達成するために培養条件の試行錯誤を行ったが、十分な数のT細胞を培養する手法を確立するには至らなかった。
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