研究課題
本研究では、放射線療法が宿主免疫に与える影響を網羅的に解析し、肺癌において宿主免疫を活性化するための至適な放射線照射量、および放射線治療後の免疫チェックポイント阻害薬の至適投与タイミングを同定することを目的としている。本研究により、宿主免疫を活性化する至適な放射線照射量および放射線治療に続く免疫チェックポイント阻害剤の至適投与タイミングが同定されれば、新たな放射線治療と免疫チェックポイント阻害剤の併用療法の治療戦略を確立することができ、免疫チェックポイント阻害剤単剤投与では恩恵が得られない患者や、免役チェックポイント阻害剤に薬剤耐性を獲得した患者への治療法開発に貢献することができる可能性がある。当該年度の進捗状況としては、根治照射や緩和照射、定位照射を含む様々な放射線治療症例において放射線照射前・照射開始後・照射終了時に末梢血単核球細胞(PBMC)および血漿・血清を回収・保存し症例の集積を継続している。放射線照射後に免疫療法(単独)あるいは複合免疫療法(化学療法と免疫療法の併用)が実施される症例においては、治療開始直前、2コース目開始前、病勢進行判定時、および免疫関連有害事象発現時に採血を行っている。現時点で、症例の集積は概ね予定通りに進んでいる。症例集積後の解析に向けて、Immunogenic Cell Death(ICD)マーカー解析、免疫サブセット解析、systemic immune gene signature プロファイリング解析の準備を進めている。
2: おおむね順調に進展している
当院にて放射線治療を実施する症例の検体採取はほとんどの症例にて実施できている。
引き続き、他院からの紹介依頼も含め、症例の集積につき努力していく予定である。症例により予定の採血ポイント通りでの検体採取が出来ていないケースがあり、可能な限り計画通りに検体採取ができるよう留意していく。症例集積の終了後に、計画している解析を実施する。
物品費として、免疫サブセット解析のための検体採取容器の購入を行ったが、最終解析等のための支出が本年度に無かったため、次年度使用額が生じた。また、研究成果に伴う学会発表が未実施のため、旅費の支出分が生じなかった。症例集積がある程度進捗し、解析に入る段階で次年度に支出の予定である。
すべて 2022 2021
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件)
Cancer Science
巻: 113 ページ: 221-228
10.1111/cas.15176.
European Journal of Cancer
巻: 159 ページ: 144-153
10.1016/j.ejca.2021.09.041.