研究課題/領域番号 |
20K16450
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
倉橋 竜磨 熊本大学, 病院, 助教 (80867945)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 転座型腎癌 / micro-RNA |
研究実績の概要 |
令和2年度までにヒト近位尿細管HK2細胞で融合TFE3(PRCC-TFE3)のドキシサイクリン依存的発現誘導細胞株を作製し、PRCC-TFE3が恒常活性型の転写因子として働き、標的遺伝子の発現を亢進させることを見出し報告してきた。また、PRCC-TFE3がmiR-204-5pの発現を誘導していることが示唆された。TFE3が結合する事が予測されるE-box 配列をTRPM3遺伝子の上流1kbpsに認めたため、CRISPR/Cas9システムによりこれらのE-box配列に変異を導入するsgRNAを複数個ずつ設計し、その切断効率をT7エンドヌクレアーゼI(T7EI)アッセイにより評価し、最適な配列を決定した。更にこれらのE-box配列を標的としたsgRNAをレンチウイルスベクターに組み込み、PRCC-TFE3発現誘導HK2細胞に導入した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
miR-204-5Pの発現を制御していると考えられるE-box配列を標的としたsgRNA配列の最適化が完了し、現在E-box配列に変異を導入したPRCC-TFE3発現誘導HK2細胞の樹立が進んでいる。また、miR-204-5pの機能解析を目的とした発現誘導ベクターの構築が完了した。
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今後の研究の推進方策 |
現在樹立中の、E-box配列ノックアウトPRCC-TFE3発現誘導HK2細胞に関して、E-box配列のシーケンスを確認した後、PRCC-TFE3の発現誘導によるmiR-204-5pの発現挙動を解析する。PRCC-TFE3の発現誘導に伴ったmiR-204-5pの発現誘導が抑制された場合は、RNAseqによる網羅的遺伝子発現解析を行い、miR-204-5pがPRCC-TFE3とどのように協調して遺伝子発現制御に寄与しているかを解析する。並行して、miR-204-5p発現誘導細胞株をHK2細胞を親株に樹立し、解析を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度行ったmiR-204-5Pの発現を制御しているE-box配列を標的としたsgRNA配列の最適化と、同E-box配列に変異を導入したPRCC-TFE3発現誘導HK2細胞の樹立については既存試薬を用いておこなっているため使用予定額より小額で実施可能であった。 2021年度分と合わせてRNA seq等への使用を予定している。
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