研究実績の概要 |
ヒト近位尿細管HK2細胞で融合TFE3(PRCC-TFE3)のドキシサイクリン依存的発現誘導細胞株を作製し、PRCC-TFE3が恒常活性型の転写因子として働き、標的遺伝子 の発現を亢進させることを見出し報告してきた。また、PRCC-TFE3がTRPM3とmiR-204-5pの発現を誘導していることが示唆されていた。そこで融合TFE3(PRCC- TFE3)のドキシサイクリン依存的発現誘導細胞株を用い、PRCC-TFE3に対するクロマチン免疫沈降シーケンシングを実施した。その結果、TRPM3のイントロン1内 にPRCC-TFE3キメラタンパク質が結合する部位を3か所見出した。この為、TFE3結合配列に変異を導入してmiR-204-5pの遺伝子発現を抑制することは困難である ことが予測された。そこで、miR-204-5p 自体に変異を導入する方針に変更した。融合TFE3(PRCC-TFE3)のドキシサイクリン依存的発現誘導細胞株を親株として、 miR-204-5pを標的としたガイドRNAをデザインし、CRISPR/Cas9システムによりmiR-204-5pをノックアウトした細胞株を複数株樹立し、解析を進めた。 一方、PRCC -TFE3によるTRPM3とmiR204を介したAutophagyの制御も考えられたため、これらの検証のためにCRISPR/Cas9システムによるPRCC-TFE3転座型腎細胞癌患者由来株 (UOK120,124 )でのTFE3のKO株を作成した。同細胞を用いて淡明細胞癌で確認されていたオートファジー機構についてウェスタンブロットによる発現を確認したところ、同様のオートファジー機構は関与していないことがわかった。
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