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2020 年度 実施状況報告書

lncRNAを基盤とした神経変性疾患に対する核酸医薬シードの開発

研究課題

研究課題/領域番号 20K16452
研究機関埼玉医科大学

研究代表者

米田 竜馬  埼玉医科大学, 医学部, 助教 (00734881)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワードlncRNA / 相分離 / TLS/FUS / cyclin D1
研究実績の概要

本年度は、がん細胞の増殖を抑える候補配列として同定した13塩基のRNA配列5'1-1を用いた研究を進めた。その結果、TLS/FUSの相分離を5'1-1が阻害することを見出し、この成果をscientific reportsに論文として発表した。さらにpncRNA-Dのメチル化に関する研究を、第43回日本分子生物学会年会におけるワークショップで発表した。
また、TLS/FUSの相分離を確認するための手段として、GFP融合TLS/FUSの安定発現細胞を作製した。TLS/FUSの過剰発現は一過性でも細胞毒性が見られるため、TLS/FUSをノックアウトしたHAP-1細胞を用いて作製した。その結果、TLS/FUSの野生型及びH517D、R521G変異型とGFPタンパク質を融合したタンパク質を発現する安定発現細胞株の作製に成功した。これらの安定発現細胞株を用いて、TLS/FUSの相分離が細胞に与える影響や、総分離を阻害する試薬の影響を観察した。安定発現細胞株でGFP-TLS/FUSの総分離を観察した結果、H517D, R521Gいずれの変異体でもほとんどのGFP蛍光は核内で見られた。しかし一部の細胞では細胞質で凝集体を形成しているTLS/FUSも観察できた。
TLS/FUSは高浸透圧ストレスなどの細胞ダメージを与えることで、細胞質で凝集体を形成することが知られている。そこで、0.4M sorbitolで細胞を処理したところ、野生型、及び変異型TLS/FUS安定発現細胞株で多くの凝集体が観察できた。これらの凝集体が、0.4M sorbitolと同時に1,6-hexanediolを処理することで、どう変化するか検証していく。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

lncRNAであるpncRNA-Dの一部である5'1-1を用いた研究結果を論文として発表することがき、GFP-TLS/FUS(野生型及び変異型)の作製にも成功した。また当初は予定していなかった変異体の安定発現細胞株も作製し、細胞実験は順調に進んでいる。

今後の研究の推進方策

13塩基のRNA配列5'1-1の細胞増殖やTLS/FUSの相分離への効果をある程度確認することができたので、今後はpncRNA-Dの他の配列を繋げて同様の実験を試みる。13塩基のRNA配列である5'1-1だけでは、HeLa細胞の増殖をそれほど抑えることができなかったため、pncRNA-Dの他の配列を繋ぎ、その効果を検証する。
またGFP-TLS/FUS安定発現細胞株を用いて、5'1-1が細胞内でもTLS/FUSの相分離、凝集体形成を阻害できるか確認する。TLS/FUSの総分離を阻害する試薬である1,&-heanediolを用いて、GFP-TLS/FUSの相分離や細胞増殖への影響を濃度別に検証する。

次年度使用額が生じた理由

コロナ禍において必要としている消耗品の在庫がない時期があり、購入できない状態が続いたため。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2021 2020

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (1件) (うち招待講演 1件)

  • [雑誌論文] Non-coding RNA suppresses FUS aggregation caused by mechanistic shear stress on pipetting in a sequence-dependent manner2021

    • 著者名/発表者名
      Hamad Nesreen、Yoneda Ryoma、So Masatomo、Kurokawa Riki、Nagata Takashi、Katahira Masato
    • 雑誌名

      Scientific Reports

      巻: 11 ページ: 9523

    • DOI

      10.1038/s41598-021-89075-w

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Potential Inhibitor Against Phase Separation, 1, 6-hexanediol Specifically Binds to Beta Actin in Nuclear Extract of Human Cell Line2020

    • 著者名/発表者名
      Naomi Ueda, Yuki Hirose, Ryoma Yoneda, Toshikazu Bando, Riki Kurokawa
    • 雑誌名

      Biomedical Sciences

      巻: 6 ページ: 88-97

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] CCND1遺伝子発現におけるlncRNAのm6A修飾の役割2021

    • 著者名/発表者名
      米田竜馬、上田奈緒美、浦西洸介、平崎正孝、黒川理樹
    • 学会等名
      第43回日本分子生物学会年会
    • 招待講演

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公開日: 2021-12-27  

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