予測誤差は人の認知・運動を正しく導くために重要な情報である.例として地理的障害 (自身のいる位置を失認する障害)では,自分の動きから期待される風景と実際に目の前の風景との予測誤差を使った地理的情報の更新が阻害されたことにより起きるとも考えられる.本研究では視覚と運動の予測誤差を計算するために重要な脳領域をマウス大脳皮質において見出した.発見した領域はアルツハイマー患者において病理的所見が見られる脳部位と相同な領域であった.今後本研究において見出した脳領域をさらに詳しく解析し,介入することで動物の空間認知,及びその障害の理解を進められるだろう.
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