研究実績の概要 |
線条体は大脳基底核の主要な入力核である。哺乳類線条体は島状に分布するストリオソーム区画とその周囲のマトリックス区画で構成される。運動異常症をきたす各種神経変性疾患において、線条体ストリオソーム区画における神経細胞の機能異常が報告されている。私達はこれまで、線条体ストリオソームにμオピオイド受容体(MOR)が強く発現していることを利用し、MOR遺伝子プロモーター下にタモキシフェン(Tm)誘導型Cre組換え酵素を発現するMOR-CreERマウスを作製した(Okunomiya, Watanabe et al., Genesis, 2020)。本研究では、線条体ストリオソーム神経細胞の遺伝子操作を可能とするこのマウスモデルを利用し、線条体ストリオソーム区画神経細胞と運動異常症との関連を検証する。 本年度は、上記マウスの線条体ストリオソーム神経細胞に、人工受容体designer receptors exclusively activated by designer drugs(DREADD)を発現させて、特異的なリガンドを投与することにより、線条体ストリオソーム神経細胞活動を人為的に制御した。結果として、マウスの運動行動に変化が生じることを見出した。今後、線条体ストリオソーム神経細胞活動と運動異常症の関連について、詳細に解析を進める。
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