研究実績の概要 |
Cldn3KOマウスやメタボローム解析を基盤とし上皮細胞間バリアの視点から肝-脳連関を担う伝達物質を新規に同定し、肝-脳連関の制御機構・生理的意義・病態との関連の解明を目的とした。肝-脳連関を担う肝由来物質の同定,肝由来物質の脳への伝達機構の解明、肝由来物質による脳機能制御機構の解明を目指した。肝由来物質による脳機能制御機構の解明においては、Cldn3KOマウスにて神経発達障害・脳炎・脳浮腫などの脳機能低下の評価、Cldn3KOマウス脳における胆汁酸シグナルの解析、胆汁酸シグナル経路の抑制・活性化による脳機能制御の実証を目指した。脳機能低下の評価を目的に、Cldn3KOマウスに対して光凝固モデルで脳梗塞作成や高脂肪食負荷を行い、脳梗塞体積や運動機能を評価し、血液サンプルや脳サンプルを蓄積した。その結果、光凝固モデルの脳梗塞では、Cldn3KOマウスとCldn2,3-dKOマウス、WTマウスの脳梗塞体積に差がないことが判明した。その他の点についても解析中で今後論文化していく予定である。 脳梗塞におけるCldn-3KOの解析する中で、occludinとCldnの両者が相互に協調しながらBBBの機能を制御することが分かったので、occludin KOマウスで脳梗塞におけるoccludinの意義を検討した。WTマウスでは脳梗塞後にoccludin、Cldn5、ZO-1のmRNA発現は急性期から低下し,occludinと同じTAMPsファミリーのTricellulinは脳梗塞後6時間まで維持されていたが,その後徐々に減少した。occludin KOマウスではCldn5とZO-1の発現が低下し、脳梗塞後では梗塞体積と血管外漏出が増加し、急性期から慢性期に至るまでBBB障害を惹起し、血管新生も抑制され、これらが神経学的な悪化をもたらすと考えられた。
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