研究課題/領域番号 |
20K16507
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研究機関 | 神戸薬科大学 |
研究代表者 |
北條 寛典 神戸薬科大学, 薬学部, 助教 (80824838)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 末梢神経再生 / T細胞 / 血管新生 / シュワン細胞 |
研究実績の概要 |
末梢神経系は中心神経系とは異なり軸索再生能を有している。しかしながら未だ末梢神経損傷後に効率よく軸索再生を誘導する方法は確立されていない。末梢神経再生にはシュワン細胞が中心的な細胞として働くほか、新生血管や線維芽細胞など多くの細胞が重要な役割を担うことが近年示唆されている。申請書は坐骨神経損傷に伴いT細胞が損傷神経組織に浸潤することから、T細胞が末梢神経再生に関与するのではないかと仮説を立て、これまでにT細胞が血管新生を制御することで末梢神経再生を促進する可能性を見出している。そこで本研究ではT細胞による末梢神経再生促進の分子機構を明らかにすることを目的と解析を行っている。 本年度は末梢神経再生に関与するT細胞サブセットを同定するために、抗体投与によるT細胞除去法を検討し、損傷坐骨神経内に存在するT細胞の除去方法を確立した。さらに、従来の末梢神経再生モデルマウスの作製法を改良し、安定して神経再生を誘導するモデルマウスの作製も行い、本研究では、新規モデルマウス作製法を利用し解析を継続した。またT細胞が血管新生を促進することから、新生血管による末梢神経再生機構についても検討を行った。VEGFR阻害剤を用いることで新生血管の役割を検討することで、新生血管がシュワン細胞遊走を制御することを明らかとした。さらに本作用を担う因子の探索を行い、血管新生に依存して発現が増加し、かつシュワン細胞の機能を制御することが明らかとなっている因子を複数見出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の計画であったT細胞のサブセット解析や、T細胞機能を担う因子の探索は遅れているが、一方で新生血管による末梢神経再生促進の分子機構の一端を明らかとすることができた。
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今後の研究の推進方策 |
当初の計画であるT細胞の機能解析を主として、計画を粛々と進めていく予定である。それとともに、本研究で明らかとなった新生血管による末梢神経再生の分子機構の解明に向けても、さらなる解析を行っていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度以降の解析を加速させるために、坐骨神経モデルマウス作製法の改良や新生血管による末梢神経再生機構の解析を優先し、今年度予定していた研究費の一部を来年度に回した。 またCOVID-19の影響により、大学業務の負担が増加したことから計画の遂行に若干の影響が生じた。
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