研究課題/領域番号 |
20K16512
|
研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
後藤 七海 群馬大学, 大学院保健学研究科, 助教 (80782482)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | 急性骨髄性白血病 / DNA修復 / 酸化ストレス |
研究実績の概要 |
これまでの検討で、酸化ストレス負荷により塩基除去修復関連遺伝子群の発現が上昇することを明らかにした。その中でも多機能蛋白であるAPE1に着目して解析を進めた。APE1 ノックダウンにより急性骨髄性白血病(AML)細胞株の増殖が抑制されることがわかり、増殖抑制の機序についての解明を進めていた。特にAPE1阻害剤投与によりOSGIN1が増加することから、OSGIN1が増殖抑制機序のキーとなると考えたが、結果としては、OSGIN1が関与するといえる結果は得られなかった。またノックダウン株を用いて細胞周期や細胞増殖に関わるシグナル経路の検討は行ったが、細胞増殖抑制の機序の解明には至らなかった。複数の配列でノックダウン株を作製したが、いずれも蛋白発現の抑制は60%程度であり、APE1の発現抑制が不十分であったと考えた。そこで、APE1のノックアウト株を樹立した。ノックアウト株はAMLにおいてはまだ樹立の報告がなく、新たな知見が得られると考えられる。今回作製したAPE1ノックアウト株は親株だけでなくノックダウン株と比べても増殖が遅く、ほとんど増殖しなかった。また、再現性を確かめる必要はあるが、形態的な分化傾向やアポトーシスの亢進が示唆される結果が得られた。APE1がAML細胞の未分化性の維持に寄与する可能性が示唆される。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
COVID-19感染拡大による研究規模の縮小やノックダウン株の解析の代替として新たに樹立したノックアウト株の作製に時間を要したため、十分な検討ができていない。
|
今後の研究の推進方策 |
APE1ノックアウト株を用いて、AML細胞の増殖抑制の機序を明らかにしていく。特に細胞分化への影響が示唆されるので、形態学的評価や表面マーカー等の検討を行なっていきたい。
|
次年度使用額が生じた理由 |
COVID-19感染拡大による研究規模の縮小や、ノックアウト株の樹立に時間を要したため。次年度では、樹立されたノックアウト株について網羅的遺伝子発現解析を含む、詳細な検討を行なうことを予定しており、それらの解析に予算を使用する予定である。
|