研究課題/領域番号 |
20K16532
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
堀 敦詞 順天堂大学, 医学(系)研究科(研究院), 博士研究員 (50838373)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | アルツハイマー病 / プレセニリン蛋白 / カルシウム動態 / iPS細胞 / 神経細胞 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、「遺伝性アルツハイマー病では神経細胞の異常興奮が起こるのか?」を検証することである。アルツハイマー病は、認知症の50-70 %を占める疾患であり、患者数は年々著増し、大きな社会問題となっている。しかしながら、アルツハイマー病の病態生理や病因は明らかでなく、従来、アルツハイマー病の機序としては、異常β-アミロイド産生 (Aβ42/40比上昇)や異常タウ蛋白の蓄積が主に着目されてきたが、これらの異常がなぜ、アルツハイマー病を引き起こすかは明らかでなく、有効な治療薬は発見されていない。令和2年度では、野生型iPS細胞とアルツハイマー病患者由来プレセニリン1(PSEN1)変異型iPS細胞から神経細胞(大脳皮質ニューロン)を誘導し、機能実験等に使用する細胞供給体制を確立する方法を検討した。それぞれのiPS細胞から誘導した神経細胞は、その形態を保ったまま、安定した細胞培養が困難であったが、細胞接着因子を調整することにより安定した細胞培養が可能となり、機能解析実験等に使用するための細胞供給体制を整えることができた。一方で、iPS細胞由来神経細胞は、その繊細な特徴から、細胞培養では非常に慎重な操作が必要であるため、一度に多くの培養ディッシュで細胞を培養することは困難であった。今後は、カルシウムイメージング法等により野生型大脳皮質ニューロンと患者由来PSEN1変異型大脳皮質ニューロンの細胞内カルシウム動態を測定する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2020年に入り、日本を含む世界中で新型コロナウイルス感染症が蔓延したことにより、国内外の研究試薬の入荷や納品が遅延または停止し、日本の研究室も閉鎖または入室制限されるなどの影響で当初の計画より研究が遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
令和2年度までに、野生型iPS細胞と患者由来PSEN1変異型iPS細胞を大脳皮質ニューロンに分化誘導させることができ、安定した細胞供給体制を確立できたため、カルシウムイメージング法により神経細胞内のカルシウム動態を測定し、野生型と患者由来PSEN1変異型の大脳皮質ニューロンを比較していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
2020年に世界中で新型コロナウイルス感染症が蔓延したことにより、国内外の研究に必要な物品や試薬の入荷や納品が遅延または停止し、当初の計画より研究が遅れているため。
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