研究課題
中枢神経感染症の鑑別診断においては、現在の標準法であるreal-time PCR(qPCR)法を用いても、いまだ約半数が原因不明とされ、より高感度な検査法が望まれている。近年、Droplet Digital PCR(ddPCR)法を用いた高感度な病原微生物検出法の有用性が報告されている。本研究ではddPCR法を用いた3種のαヘルペスウイルス検出法を確立するため、既存qPCR法との比較検討を行った。HSV-1とHSV-2は実験室株(KOS株、186株)、VZVはワクチン株(乾燥弱毒生水痘ワクチン「ビケン」)のウイルス液からQIAamp DNA Blood Mini Kit(QIAGEN)を用いてDNAを抽出した。qPCR法、ddPCR法のプライマー、プローブセットは同一のセットを使用した。qPCR法はStepOneTM(Applied Biosystems)Fast modeにて、95℃ 20秒、95℃ 1秒、60℃ 20秒を50 cyclesでPCRを行った。ddPCR法はQX200 AutoDG(Bio-Rad)にてドロップレットを作成、C1000 Touch Thermal Cycler(Bio-Rad)を用い96℃ 10分反応後、94℃ 30秒、56℃ 60秒、98℃ 10分を40 cyclesでPCRを行った。その後QX200 Droplet Reader(Bio-Rad)を使用してドロップレットの蛍光測定を行った。qPCR法とddPCR法を比較検討した結果、HSV-1とVZVは、qPCR法がddPCR法より感度が良く、HSV-2では、ddPCR法とqPCR法は同程度の感度であった。ddPCR法では現状のqPCR法を上回る結果を得る事は出来なかった。感度向上のためには、ddPCR法のサンプル添加量の増量、プライマー・プローブセットの再設計などの検討余地がある。
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