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2022 年度 実施状況報告書

マクロファージ貪食能に基づく肺非結核性抗酸菌症の新たな治療戦略

研究課題

研究課題/領域番号 20K16537
研究機関産業医科大学

研究代表者

山崎 啓  産業医科大学, 医学部, 講師 (50441861)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2024-03-31
キーワード非結核性抗酸菌症 / 慢性下気道感染症 / マクロファージ
研究実績の概要

肺胞マクロファージは肺の自然免疫細胞であり、非結核性抗酸菌感染に対する宿主反応で最も重要な役割を果たすことが報告されている。しかし、肺非結核性抗酸菌症においてマクロファージの混合感染における機能的側面、フェノタイプについて詳細は明らかにされていない。
これまでに慢性下気道感染症患者から採取した気管支肺胞洗浄液に対して肺胞マクロファージのフェノタイプの評価(M1マクロファージ、M2マクロファージ、M1/M2 double positive、M1/M2 double negative)と、pH-rodo labeled bacteria(貪食されると蛍光発色し貪食量と蛍光量が比例するため貪食能を定量評価可能)を用いて貪食能測定をflow cytometryを用いて検討した。対象症例(n=30)はAmerican Thoracic Society/Infectious Diseases Society of America guidelinesに基づいて肺NTM症患者群(n=11)とその他の慢性下気道感染症患者群(n=19)の2つのグループに分けて検討を行った。肺NTM症患者群では肺胞マクロファージの貪食能が対照群と比べて有意に低下し、さらにM1/M2 double negativeマクロファージの割合が増加した。さらに、M1/M2 double negativeマクロファージはその他3つのフェノタイプと比較して最も貪食能が低下していることを確認した。
in vitroでは、非NTM感染マクロファージと比較して、NTM感染マクロファージにおける殺菌能の低下および上清中の炎症性サイトカイン値が上昇することを明らかにした。これまでの研究結果から、肺胞マクロファージの機能不全が他の細菌による持続的な感染に寄与し、MAC肺疾患の進行につながる可能性が示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

結果をまとめ、英語論文(J Infect Chemother. 2022 Nov;28(11):1506-1512.)にて報告した。

今後の研究の推進方策

可能であれば、更に症例を集積し、実験を継続する。また新たに共同で購入した3D画像解析システムを用いて、マクロファージの機能と胸部CTとの関連についても解析検討する予定である。

次年度使用額が生じた理由

予定より早く実験結果がそろい、論文投稿し受理されたため次年度使用額が生じた。次年度は、可能であれば更に実験を行い、論文投稿、学会参加・発表、投稿料等に使用する予定である。また3D画像解析システムを用いて、マクロファージの機能と胸部CTとの関連についても検討する。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2022

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件)

  • [雑誌論文] Reduced phagocytic activity of human alveolar macrophages infected with Mycobacterium avium complex2022

    • 著者名/発表者名
      Ikegami H, Yamasaki K, Ogawa M, Nemoto K, Akata K, Noguchi S, Fukuda K, Kawanami T, Mukae H, Yatera K.
    • 雑誌名

      J Infect Chemother

      巻: 28 ページ: 1506-1512

    • DOI

      10.1016/j.jiac.2022.07.018.

    • 査読あり / オープンアクセス

URL: 

公開日: 2023-12-25  

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