研究課題
本研究は、当院糖尿病・脂質代謝内科に通院中の2型糖尿病患者を対象に、HbA1c、インスリン分泌能など糖尿病関連の項目や尿検査などに加え、測定精度が高いDEXCOM G6を使用した持続血糖変動、HDLの質的評価(引抜能、抗酸化能、抗炎症作用)、尿エクソソーム解析、心エコー(左室拡張能や心肥大)、血管内皮機能(エンドパッド、CD34+細胞)、心障害マーカー(高感度トロポニンT)、酸化ストレス(尿中8 OHdG)、炎症マーカー(IL-6)などを測定し、DKDの発症・進展に関わる危険因子や関連性について明らかにすることを目的とした。糖尿病性腎臓病とHDL機能低下との関係性をみたものはまだなく、糖尿病性腎臓病と血糖変動との関係性、尿エクソソーム解析に関する報告もほぼないため、先進的研究である。「糖尿病における腎機能悪化群の病態を解明」のための、「既存データベースを用いた解析」では血漿BNP高値が腎イベント(Cre1.5倍化)と関係し、入院前後の心エコー検査で左房径拡大(LAD≧38)があると腎イベントのリスクが高くなることが明らかとなった。また同じデータベースを用いた研究で網膜症、腎症があるとHFpEF発症リスクが高いことが明らかにできた。「新規コホート作成」により、血糖変動等が腎機能悪化に与える影響を評価する検討については、新型コロナウイルスの流行により使用予定であった持続血糖測定器の発売が延期されていたが、2021年7月に発売され、当院でも使用申請が承認されたため、2022年1月より患者登録を開始している。症例登録数は目標150例に対して、130例(86.7%)と遅れているが、患者登録、研究解析を進めている。
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