研究課題/領域番号 |
20K16559
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研究機関 | 杏林大学 |
研究代表者 |
三好 佐和子 杏林大学, 医学部, 助教 (90846817)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 口腔内微生物叢 / Microbiome解析 / 生活習慣病 / 人間ドック / 唾液 |
研究実績の概要 |
体内微生物叢(microbiota)と代謝性疾患を含む様々な病態との関連が報告されている。その中でも、特に口腔内、唾液は採取の簡便性から臨床利用に適している。本研究では、一般人口であり、かつ詳細な臨床データを有する人間ドック受診者を対象に、唾液内の細菌のみならず真菌、ウイルスを含む微生物構成ならびに機能の両面から包括的にmicrobiome解析を行い、代謝性疾患との関連を評価し、早期の疾患マーカー、モニタリングツールとしての有用性を検討することを目的としている。 研究開始の2020年度は、新型コロナウイルス感染拡大に伴い、研究対象となる人間ドックは一時休止、受診制限をおこなっており、予定していた参加登録が見込めず、1年間の遅れが生じた。その間、研究協力体制の構築、環境の整備、唾液検体からのDNA抽出、シーケンシング解析についての予備検討を行った。予備検討において、唾液抽出DNAでは、唾液中消化酵素等の影響により、口腔内細菌のPolymerase Chain Reaction法での検出は難渋したため、抽出法の慎重な条件検討を行った。 2021年度から人間ドック受診者数は比較的回復したため、参加登録を開始した。初回採取目標を達成し、回収した唾液検体に対して16S rRNA gene amplicon sequencing解析を行った。同時に解析した糞便検体解析結果をと比較し、大きく離れたクラスターを形成しており、糞便とは細菌構成が大きく異なること、存在する細菌の種類は糞便よりも検体間で差異が小さいものの、個人間の各細菌の占有割合は大きく異なっているという特徴を認めた。 引き続き臨床情報と合わせた経時変化解析のため、唾液サンプル採取、解析を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究開始予定であった2020年度は、新型コロナウイルス感染拡大に伴い、研究対象となる人間ドックを一時休止、受診制限をおこなっており、リクルート予定であった定期受診者についてもキャンセル、受診スケジュールの変更が多かった。そのため、予定していた参加登録が見込めず、1年間の遅れが生じたが、その間、研究環境の整備、実験手技、最適な唾液DNA抽出条件の検討を行った。 2021年度からは人間ドック受診者数も比較的回復したため、研究参加のリクルートを開始し、2022年度までで初回採取分のDNA採取、解析を行った。補助事業期間を1年間延期し、2022~2023年度で経時変化解析用の唾液サンプル採取、解析を行っている。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度までで採取した初回受診者サンプルに関して、引き続き16s rRNA amplicon sequencing解析を行い、健常群、代謝性疾患予備群、代謝性疾患群の微生物構成を比較解析する。Keyとなる微生物群を検出し、それらのMetagenomic shotgun sequencingデータを用い、機能解析を行う。 また、予定していた微生物構成の経時的変化、代謝性疾患の推移との関連を評価するため、再受診者からの唾液サンプルも用い、16s rRNA amplicon sequencing解析、機能解析を行い、検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
前年度からの使用額が利用可能であり、当年度でその一部を利用したが、次年度使用額が生じている。2021年度中途から研究参加者リクルートを開始しており、計画に約1年のずれが生じ、当年度は初回採取検体のみに限っての16s rRNA amplicon sequencing解析、経時変化評価目的での再受診者のサンプル採取(一部のみ)を行った。引き続きの再受診者サンプル採取、16s rRNA amplicon sequencing解析、機能解析は延期後の2023年度に行うため、使用期限のある採取キット、各種試薬、解析費用についても2023年度の購入、依頼予定と変更した。
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