研究課題/領域番号 |
20K16568
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研究機関 | 国立研究開発法人国立循環器病研究センター |
研究代表者 |
丸山 慶子 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 研究所, 特任研究員 (30712624)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | プロテインS / プロテインC |
研究実績の概要 |
先天性血栓性素因として、アンチトロンビン、プロテインC(PC)、プロテインS(PS)の欠損症がある。先天性血栓性素因のスクリーニング検査として、これらの抗原量および活性の測定は重要である。活性化PC(APC)は、PSを補酵素として、活性化第V因子(FVa)および活性化第Ⅷ因子を不活化し、凝固反応を阻止する。現在行われているPSおよびPC活性測定法は、凝固時間法もしくはトロンビンやAPCで分解される合成基質を用いた間接的な測定法であり、PSおよびPCの働きを直接定量化していない。そこで、本研究ではPSおよびPCによるFVaの不活化を直接定量し、PSおよびPC活性を正確に算出することを目的としている。今年度は、昨年度精製した組換えFV改変体とPS活性0-200%までの模擬血漿検体(正常血漿とPS欠乏血漿の混合比を変えて調製)を用いてウェスタンブロット法およびELISAにて検討を行った。その結果、PS活性依存的にシグナルの変化が認められた。さらに、組換えFV改変体と精製APCを用いてPC活性測定系の検討を行った結果、APC濃度依存的にシグナルの変化が認められた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は、PS活性測定系の検討に関しては、正常血漿とPS欠乏血漿の混合比を調整しPS活性0-200%までの模擬血漿検体を用いた測定を行うことができた。PC活性測定系の検討に関しても、精製APCを用いた検討を行うことができたが、模擬血漿検体を用いた検討はできなかった。そのため、血漿中のPCをAPCに変換して測定するという血漿検体を想定した条件検討は実施できなかったが、当初の計画通りにおおむね進めることができていると思う。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、模擬血漿検体を用いて、PC活性測定系の条件検討を行う。さらに、本研究で実施している活性測定法と従来の凝固時間法での測定結果の比較を行う予定である。所属施設のバイオバンクには、医学研究を目的として様々な血漿検体が収集されている。これを利用して、PS、PC活性を従来の凝固時間法で測定した結果と本研究で実施している測定法での結果を比較する。凝固時間法での値との相関や、測定値が乖離する検体を分析する。また、両方もしくは片方の測定法でPSあるいはPC活性の低い検体については遺伝子解析を実施し、変異の有無を確認することで活性測定による先天性血栓性素因スクリーニングとしての有用性を評価する。
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