先天性血栓性素因として、アンチトロンビン、プロテインC(PC)、プロテインS(PS)の欠損症がある。先天性血栓性素因のスクリーニング検査として、これらの抗原量および活性の測定は重要である。活性化PC(APC)は、PSを補酵素として、活性化第V因子(FVa)および活性化第Ⅷ因子を不活化し、凝固反応を阻止し、血栓形成を抑制している。現在行われているPSおよびPC活性測定法は、凝固時間法もしくはトロンビンやAPCで分解される合成基質を用いた間接的な測定法であり、PSおよびPCの働きを直接定量化していない。そこで、本研究では、PSおよびAPCによるFVaの不活化を直接定量し、PSおよびPC活性を算出することを目的としている。本研究では、活性測定に適したFV改変体を作製し、APCおよびPSによるFV改変体の切断を定量し活性を算出する方法を構築した。FV改変体を発現する安定発現細胞株を樹立し、Talonレジンを用いてFV改変体を大量に精製した。精製したFV改変体とリコンビナントPSおよびリコンビナントAPCを用いて検討した結果、PSおよびPC活性依存的にFV改変体の切断をウェスタンブロット法およびELISAにて確認することができた。さらに、正常血漿と欠乏血漿の混合比調整で調製した模擬血漿検体(活性0-200%)を測定した結果、良好な結果を得ることができた。
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