研究実績の概要 |
縁取り空胞を伴う封入体ミオパチー5家系5例を対象に次世代シークエンサーを用いたターゲットリシークエンス解析あるいは全エクソーム解析を行った。遺伝性筋疾患/多系統蛋白質症関連遺伝子のターゲットリシークエンス解析により、生検筋病理学的検査で縁取り空胞を伴い常染色体優性遺伝形式をとる封入体ミオパチー2家系2名の罹患者に、既報(Izumi, et al. 2015)のhnRNPA1遺伝子, p.D314Nヘテロ接合性変異を検出し、サンガー法で確認した。更に上記2名の全エクソーム解析を追加で行うも同変異のほかに、既知の疾患関連変異を認めなかった。この新規診断2例の生検筋病理評価を行ったところ、慢性筋原性変化、縁取り空胞、軽度COX活性低下、1症例で軽度筋線維タイプ群化を確認した。電顕標本においては、核と隣接する自己貪食空胞、筋核と隣接するグリコーゲン・脂肪滴蓄積および細胞質12.5nm tubulofilamentous inclusion、筋核不整、ミトコンドリア増生、筋原線維断片化を観察した。更にこの新規診断2例を含む3例のhnRNPA1遺伝子, p.D314Nヘテロ接合性変異患者由来凍結骨格筋組織よりRNA抽出を行い、他の遺伝性封入体ミオパチーおよび疾患コントロールとともにトランスクリプトーム解析を行った。いずれにおいても十分な解析データを得ており、今後RNA発現量やスプライス異常に関する群間比較を予定している。
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