研究課題/領域番号 |
20K16571
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
井泉 瑠美子 東北大学, 大学病院, 助教 (60571453)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 多系統蛋白質症 / 封入体ミオパチー / トランスクリプトーム解析 / 次世代シークエンサー |
研究実績の概要 |
前年度、遺伝性筋疾患/多系統蛋白質症関連遺伝子のターゲットリシークエンス解析により、生検筋病理学的検査で縁取り空胞を伴い常染色体優性遺伝形式をとる封入体ミオパチー2家系2名の罹患者に、多系統蛋白質症関連hnRNPA1遺伝子, p.D314Nヘテロ接合性変異(Izumi, et al. 2015)を検出し、サンガー法で確認した。今年度は、上記2名を含む、3家系の発端者3名(いずれもp.D314Nヘテロ接合性変異陽性)の凍結骨格筋組織よりRNA抽出を行い、他のhIBMおよび疾患コントロールとともにトランスクリプトーム解析を行った。解析に足るシークエンスデータ量を得て、TopHatでmappingを行い、hnRNPA1遺伝子変異陽性3検体と疾患コントロール(非ALS, 非hIBM) 5検体とのRNA発現量群間比較をDESeq2を用いて行った。200を超える発現変動遺伝子(DEG)を抽出し、それらについて、Enrichment解析、GO term解析を行ったところ、mRNA代謝関連(プロセシング・輸送)、核酸輸送、核・核膜孔複合体に関係する遺伝子セットが含まれていた。qRT-PCRにおいて、これらのパスウェイ上の重要分子のRNA発現量の有意差の再現性について確認を行った。今後、凍結骨格筋組織や患者由来iPS細胞における蛋白レベルの発現量や局在の差、hnRNPA1や他の多系統蛋白質症関連分子との関連について検討予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、研究計画に基づいて、多系統蛋白質症hnRNPA1遺伝子変異陽性例の生検骨格筋を用いたトランスクリプトーム解析及び情報解析を行うことができた。蛋白解析は次年度に持ち越すこととなった。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画に基づいて、トランスクリプトーム解析にて検出した重要分子について、罹患者骨格筋組織における局在と凝集体形成の有無を免疫組織化学にて評価する。変異遺伝子を導入した培養細胞、罹患者由来iPS細胞を樹立し、トランスクリプトーム解析および蛋白レベルでの解析を行い病態の再現性について確認する。これらより、多系統蛋白質症の病態解明および治療標的分子の抽出を目指す。並行して、新規診断hIBMないし多系統蛋白質症症例のゲノム解析を随時進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
遺伝子解析を行ったサンプル数が予定を下回ったことから実支出額が減少した。次年度にも継続する遺伝子解析に使用を予定している。
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