研究課題/領域番号 |
20K16576
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
佐木山 裕史 大阪大学, 大学院医学系研究科, 招へい教員 (40851902)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | パーキンソン病 / 老化 / 神経炎症 |
研究実績の概要 |
老化促進マウスであるSAMP8と対象群として正常老化を示すSAMR1を用いて実験を進めている。SAMR1、SAMP8の6~8週齢時に片側中脳黒質に G51D変異α-synuclein凝集体もしくは生理食塩水を定位的に接種する。先行研究にてG51D変異α-synuclein凝集体の接種によって、パーキンソン病でみられる中脳黒質のドパミンニューロンの脱落とレビー病理の形成がみられることが知られている。SAMR1+生食、SAMR1+α-synuclein凝集体、SAMP8+生食、SAMP8+α-synuclein凝集体の4群で比較検討を行った。 運動機能については、4週間毎にrotarod試験にて評価をおこなった。SAMP8では老化促進に伴う運動機能低下がみられ、SAMR1群、SAMP8群共に、α-synuclein凝集体接種群がより低下の程度が強い傾向にあるが、有意な低下とはいえるものではなかった。α-synuclein凝集体接種後24週後に回収し、中脳黒質のドパミンニューロンの脱落、レビー病理の形成、またそれらに関連するグリア細胞の浸潤と炎症性変化をSAMR1とSAMP8で比較した。 SAMP8+α-synuclein凝集体群では、SAMR1+α-synuclein凝集体群と比較して、黒質ドパミンニューロンの脱落、レビー病理の形成が促進している傾向があり、関連するグリア細胞の浸潤と活性化も高い傾向がある。 老化に伴う免疫系の異常がレビー病理の形成促進に寄与している可能性を考え、G51D変異α-synuclein凝集体接種12週後の中脳黒質を回収し、RNAseq解析を行ったところ、炎症に関連する因子の上昇に差がみられた。老化促進による神経炎症の悪化が、レビー病理の形成に寄与している可能性が高いと考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
G51D変異α-synuclein凝集体接種後、少なくとも24週間後の時点で、黒質ドパミンニューロンの脱落、レビー病理の形成、またそれらに関連するグリア細胞の浸潤と炎症性変化が老化促進マウスであるSAMP8で目立ってることが確認されている。老化がα-synucleinの凝集体の伝搬に与える影響とその因子についての解明に向けて、RNAseq解析を行っており、いくつかの炎症に関連する因子が老化促進マウスであるSAMP8で上昇しているのを確認できており、これまでの研究成果の論文投稿にむけて準備を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
RNAseqによる解析結果からは、老化に伴う炎症悪化がレビー病理の形成促進に寄与している可能性が高く、論文投稿に向けて研究成果を精査する。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ感染拡大により、海外出張などが困難であり、旅費支出を行わなかったため。
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