研究課題/領域番号 |
20K16578
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
甲田 亨 大阪大学, 医学部附属病院, 特任助教(常勤) (70626134)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 視神経脊髄炎 / PET / アストロサイト / 高次脳機能障害 |
研究実績の概要 |
多発性硬化症(MS)は脱髄が主でアストロサイトが活性化する一方、視神経脊髄炎(NMOSD)はAQP4に対する自己抗体によるアストロサイトの障害が主とされているが、生体においてアストロサイト障害を直接評価する画像モダリテイは存在せず、疾患活動の直接的な評価や高次脳機能障害等の背景にある病態は未解明であった。 本研究ではアストロサイト特異的に代謝される酢酸をトレーサーとする脳のPET撮影がMSとNMOSDの脳病変の鑑別、NMOSDにおけるアストロサイト障害の定量化や疾患活動性の直接的な評価の指標となることを目指す。具体的には以下について行った。①NMOSD患者と健常者とについてアストロサイトの酢酸代謝の比較、②NMOSD患者において大脳病変の有無とアストロサイト代謝活性との相関について検証、③NMOSD患者においてアストロサイト代謝活性と高次脳機能、うつ症状、疲労などの非運動症状との相関についての検証。その結果、大脳病変を有するNMOSD患者では灰白質の脳酢酸代謝が低下していた。逆に大脳病変を有さないMNOSD患者は白質の酢酸代謝の亢進を認めた。また、一部の高次脳機能と灰白質や白質の酢酸代謝に正の相関がみられることも見出しており、高次脳機能障害におけるアストロサイトの代謝の関与が示唆された。以上より酢酸PETはアストロサイトイメージングとして有用であることが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
PET撮影自体は概ね終了しているがCOCID-19の影響で少し遅れあり、追加データの取得と併せて現在は主にデータの解析及び論文化の準備を行っている。
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今後の研究の推進方策 |
治療反応性も含めた縦断的な解析及び他疾患の応用について検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
PET撮影自体は概ね終了しているがCOCID-19の影響で少し遅れあり。追加データの取得と併せてデータの解析及び論文化のために使用する予定。
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