研究課題
アルツハイマー型認知症と血管性認知症に共通する重要な病態として脳小血管病、すなわち大脳白質病変や脳微小出血の存在がある。脳小血管病の進展は動脈硬化や血管内皮機能障害が関連し認知症発症のみならず脳卒中発症や脳卒中予後にも強く関連している。脳小血管病を有する患者の脳卒中後転帰、脳卒中再発、認知症発症に関連する因子は多様である。本年度は以下の2点を中心に学会報告、論文化を行った。1.脳卒中患者、特に脳小血管病を有する症例を中心として解析を行い、患者背景因子、転帰に関連する因子の検証:急性期ラクナ梗塞患者を対象に頸動脈超音波検査で測定できるwall shear stressと脳小血管病の関連を検証した。Wall shear stressは脳小血管病 特に血管周囲腔の拡大と関連した。また、急性期脳卒中患者を対象にα2マクログロブリン、ホモシステイン、尿微量アルブミンと脳小血管病との関連を検証した。α2マクログロブリンはこれまで血管内皮機能と関連していることを報告している。α2マクログロブリンはホモシステインとは相関せず、尿アルブミンと関連し、脳小血管病の重症度と関連した。2.急性期脳出血患者の短期予後と長期予後に関連する研究:脳出血患者の急性期、亜急性期においてDWI高信号病変を評価し転帰との関連を検証した。亜急性期のDWI高信号病変は脳出血転帰不良に関連した。
3: やや遅れている
脳小血管病の重症度に関連する患者背景因子、あるいは脳卒中の転帰不良に関連する因子を様々な視点から検証して論文化するに至っている。マイクロRNA解析については昨年度同様に検体を保存している状態であるが解析、学会報告するに至っていない。
引き続き脳小血管病を中心に、血液検査、生理学所見、放射線学的所見などから多面的にアプローチして脳小血管病患者の病態、予後に関連する因子を見出し最適な評価方法、治療法などを検討していく。
マイクロRNA解析がまだできていないため次年度以降に持ち越し.2023年度の予算と共にマイクロRNA解析を行っていく.また脳小血管病に関する脳卒中臨床研究の英文校正、学会発表、論文発表に使用する.
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すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件) 学会発表 (1件)
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