研究課題/領域番号 |
20K16580
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研究機関 | 香川大学 |
研究代表者 |
久米 広大 香川大学, 医学部, 寄附講座教員 (20592314)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 筋萎縮性側索硬化症 / 次世代シーケンサー |
研究実績の概要 |
次世代シーケンサーによりエクソーム解析および全ゲノム解析を家系内発症者に対して行った。SNPタイピングによる連鎖解析やハプロタイプ解析で同定していた候補領域にあるバリアントを抽出し、発症者に共通して認めるバリアントを同定した。家系内の他の発症者および非発症者の解析を行い、同定したバリアントが共分離することを確認した。同定したバリアントを健常者および筋萎縮性側索硬化症患者、それぞれ約1000名のDNA検体を用いてスクリーニングし、患者1名に同バリアントを認めたが、健常者には同定されなかった。また、新たに2家系の検体を収集し、同バリアントを認めることを確認した。 機能解析のため、発症者の末梢血よりiPS細胞を作製した。運動神経に分化させ、同定したバリアントが運動神経細胞死を起こすメカニズムの解析を進めている。 以上のように、当初の最低目標であった、原因遺伝子の同定は達成でき、研究は予定よりも進展している。同定した原因遺伝子は新規であり、既知の原因遺伝子とは異なる機能を有していることから、今後、機能解析を進めることで筋萎縮性側索硬化症の新たな病態を明らかにできると考えている。そして、アンチセンス核酸やゲノム編集などを用いた治療法の開発の研究を行っていきたい。また作製したiPS細胞は既存薬のスクリーニングにも用いることができる。 以上のように本研究をさらに進展していくことで、未だ十分な治療法の無い筋萎縮性側索硬化症の病態の解明および新規治療法の開発を行っていきたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初の目的であった筋萎縮性側索硬化症の原因遺伝子の候補遺伝子は同定できたため。
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今後の研究の推進方策 |
iPS細胞を用いた機能解析を進める。またバリアントのスクリーニングも継続して行い、症例の集積に努める。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究が予定より早く進展し前倒し請求を行ったが、研究遂行に必要な試薬類は既に購入済みのもので対応でき、使用額が少なかったため。今年度はiPS細胞を用いた機能解析のための試薬類の購入のために主に使用する予定である。
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