研究課題/領域番号 |
20K16584
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研究機関 | 和歌山県立医科大学 |
研究代表者 |
森 めぐみ 和歌山県立医科大学, その他部局等, 助教 (60590437)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 中條-西村症候群 / 封入体筋炎 |
研究実績の概要 |
中條-西村症候群患者を定期的に診察し、筋力低下・筋萎縮の分布や嚥下障害といった臨床症状および画像所見、血液データ等の各検査所見の変化を追跡した。 中條-西村症候群では、筋力低下・筋萎縮の分布は大腿四頭筋や手指屈筋群に強く、封入体筋炎の筋症状に類似していた。しかしながら、中條-西村症候群では病勢と相関する凍瘡様皮疹や紅斑を伴っており、これらは中條-西村症候群に特徴的な所見であった。 また、中條-西村症候群と封入体筋炎の生検筋において、ユビキチン-プロテアソーム系に関与するlys48-polyubiquitin、選択的オートファジーに関与するp62、lys63-polyubiquitin,LC3、ユビキチン-プロテアソーム系が機能しない場合に選択的オートファジーで蛋白分解をおこなう際に関与するS403リン酸化p62(S403-p・p62)に対する抗体でそれぞれ染色した。中條-西村症候群ではS403-p・p62,lys63-polyubiquitin,LC3の染色性に相同性がみられた。封入体筋炎では,p62,lys63-polyubiquitin,LC3の染色性が一致していた。 p62はS403のリン酸化が起こることで、プロテアソーム基質であるlys-48ポリユビキチン化蛋白とも結合できるようになり、オートファジーによる蛋白分解が可能となる。従って中條-西村症候群では、プロテアソーム機能不全により蓄積したlys-48ポリユビキチン化蛋白がS403リン酸化p62と結合し、補完的に選択的オートファジーで分解されている可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
令和2年度は中條-西村症候群の臨床所見の調査、解析を中心におこなったため、生検筋を用いた病理学的研究は当初の予定より遅延した。
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今後の研究の推進方策 |
本年度に蓄積した中條-西村症候群患者の臨床症状、各種画像検査、血液検査データ等を引き続き収集し、封入体筋炎との類似点、相違点を解析する。 中條-西村症候群および封入体筋炎の既存の生検筋を用いて、ユビキチン-プロテアソーム系や選択的オートファジーに関与する抗体にて染色し、両疾患におけるタンパク分解機構について比較する。また、中條-西村症候群のモデルマウスの生検筋も同様に染色し、患者さんの生検筋との比較を予定する。
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次年度使用額が生じた理由 |
令和2年度は、中條-西村症候群患者の臨床データの収集が主体となり、予定していた病理学的研究やデータ解析は遅延している。令和3年度以降は、収集した臨床データの解析および病理学的研究を継続しておこなう予定である。そのため、令和2年度に計上していたデータ解析用パソコン、実験器具、抗体、その他の免疫組織薬等の物品は令和3年度に購入・使用を予定している。
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