研究課題/領域番号 |
20K16597
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
鈴木 将史 名古屋大学, 医学部附属病院, 医員 (50815462)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | パーキンソン病 / 頸動脈エコー / ウェアラブルデバイス / 頸動脈エコー / 副交感神経 / 迷走神経 / 自律神経 |
研究実績の概要 |
パーキンソン病(PD)37例、パーキンソン症候群27例、コントロール16例において頸動脈エコーを用いて迷走神経断面積測定を行った。迷走神経断面積はPDやパーキンソン症候群において低い傾向であったが、現時点では有意差は認めなかった。迷走神経断面積と心拍変動における副交感神経パラメーターとの相関について検討したところ、PDではCVR-Rなどの一部のパラメーターに有意な相関を認め(左右面積計とCVR-R ; r = 0.46, p = 0.009など)、迷走神経断面積は副交感神経機能を反映している可能性が示唆された。またPD27例、コントロール23例においてウェアラブルデバイスを用いて取得した長時間心拍変動から副交感神経パラメーターを解析し、検討を行った。PDにおいて、CVR-R等の複数の副交感神経パラメーターが有意に低下していた(CVR-R ; 1.15 ± 0.33 vs 0.65 ± 0.24など)。さらにこれらのパラメータを用いてROC解析を行ったところ、ウェアラブルデバイスから取得した副交感神経パラメーターはPDの鑑別に有用である可能性が示された(CVR-R ; AUC = 0.90,感度 = 0.81, 特異度 = 0.91など)。PDを含む神経変性疾患では臨床症状の出現より以前に、神経の変性が始まっていると考えられている。早い段階より治療介入を行うために、非侵襲的な早期の診断マーカーの確立が必要とされている。PDにおいて副交感神経障害は、運動症状の出現に先行する可能性がある病態のひとつである。迷走神経断面積はPDの副交感神経機能を反映している可能性があり、ウェアラブルデバイスを用いた副交感神経機能の評価と組み合わせることにより、PDの副交感神経障害を検出し、非侵襲的にPDの早期診断や鑑別が行える可能性がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2021年3月の時点で、頸動脈エコーを用いた迷走神経断面積測定は、パーキンソン病37例、パーキンソン症候群27例、コントロール16例に行っている。ウェアラブルデバイスを用いた副交感神経機能の評価はパーキンソン病27例、コントロール23例に行っている。概ね予定通りに進行しており、次年度も症例を蓄積していく予定である。
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今後の研究の推進方策 |
症例数については、次年度も本年度と同様に蓄積していく予定である。頸動脈エコーを用いた迷走神経断面積測定については、パーキンソン病とコントロールにおいて現時点で有意差を認めておらず、解析方法については再検討が必要である可能性がある。具体的には年齢や性別、副交感神経パラメーター等を考慮したうえでの解析方法を検討していく。迷走神経断面積とウェアラブルデバイスを用いた副交感神経機能の評価を組み合わせた解析方法についても、検討を進めていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由)購入予定していた物品の譲渡を受けたため物品費の使用が減額した。研究補助者に予定していた人件費および旅費もコロナの影響で使用できなかった。
(使用計画)研究を加速するためのハイスペック解析用パソコンなどの物品費と研究データ入力業務者の人件費に充当する予定である。
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