研究課題/領域番号 |
20K16599
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
近藤 孝之 京都大学, iPS細胞研究所, 特定拠点講師 (80536566)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | iPS細胞 / アルツハイマー病 / アストロサイト / グリア細胞 / 疾患モデル / 創薬 / スクリーニング |
研究実績の概要 |
アルツハイマー病は、高齢化社会の到来ともに激増することが予測されるが、治療法は限られる。本研究では、アルツハイマー病病態の理解のために、脳内で最も数が多い細胞種であるアストロサイトに焦点をあてる。アストロサイトは、神経細胞の10倍以上の細胞数を占め、神経細胞を取り囲みながら物理的に支持するのみならず、神経伝達の調整や栄養供給、そして免疫系細胞としての役割も持つことが少しずつ明らかになっている。この様なアストロサイトの多彩な機能を鑑みるに、神経細胞病態のみを標的とするのではなく、アストロサイトを標的とした病態解明および創薬を加速させ必要がある。 本研究計画では、アルツハイマー病患者および健常人から樹立したiPS細胞(induced pluripotent stem cells)を材料として、分化誘導して調整されたアストロサイトや神経細胞を用い、さらに老化を始めとする環境因子を付与することで、アルツハイマー病病態におけるアストロサイトの病態とその形成過程を明らかにすることを目的とする。 まずは、患者のiPS細胞からアストロサイトを調整を試みた。iPS細胞からのアストロサイト分化誘導系の新規構築に取り組み、GFAP陽性のアストロサイトを調整する方法を開発した。アストロサイトは神経細胞とは異なり、自身は電気的に非興奮性細胞であるが、細胞外の神経伝達物質の調節・細胞内カルシウム濃度の調節・エネルギー代謝調節・炎症性応答により、脳内環境を維持している。今後は本方法のさらなるブラッシュアップと機能性の確認、アルツハイマー病患者から樹立したiPS細胞に分化誘導法を適応し病態の探索を進めていく予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定通りアストロサイトの分化誘導法を新規に構築した。特にアストロサイトのマーカーであるGFAP陽性細胞を得、カルシウムオシレーションを含む機能の確認も行えた。
|
今後の研究の推進方策 |
アルツハイマー病患者由来のiPS細胞にも新規開発した手法を適応することで、病態解明を進めていく予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
分化誘導法の短期化と低コスト化に成功したため。
|