アルツハイマー病は、高齢化社会の到来ともに激増することが予測されるが、治療法は限られる。本研究では、アルツハイマー病病態の理解のために、脳内で最も数が多い細胞種であるアストロサイトに焦点をあてる。老化過程を経てどの様に病態を形成するのか明らかにし、最終的に、構築された病態モデルに基づいて、治療および予防法開発につなげるために、患者のiPS細胞からアストロサイトを調整するため、分化誘導法の改良に取り組んでいる。アストロサイトの分化誘導には、数ヶ月以上の期間を要していたが、この過程をより簡便かつ短期間で行う分化誘導法の検討を行ってきた。また、アルツハイマー病の90%以上を占める孤発性アルツハイマー病はモデル化することが困難であった。アストロサイトで孤発性アルツハイマー病でモデル化するためのプラットフォームづくりとして、100名を超える孤発性アルツハイマー病患者の細胞を用いた遺伝的背景の探索基盤となる、CDiP法を開発した。このCDiP法や薬剤スクリーニングに用いることができるアストロサイトの分化誘導系の開発を進めた。
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