研究課題/領域番号 |
20K16601
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
音成 秀一郎 広島大学, 病院(医), 助教 (70847996)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | てんかん / 脳機能マッピング / 運動皮質 / 皮質脳波 / 運動準備電位 |
研究実績の概要 |
脳切除術の術後機能障害の回避には、ヒトの大脳機能局在の同定(脳機能マッピング)が最重要プロセスであり、特にてんかん患者では個々の病態による機能可塑性があるため、患者毎単位での包括的な脳機能マッピングが肝要である。現在の脳機能マッピングの主流は皮質電気刺激(ECS: electrical cortical simulation)であるが、その電気刺激という侵襲性の点や、評価可能な範囲がその刺激直下の機能に限られる点などで限界がある。一方、ヒトの随意運動に際しては、遅い周波数帯域から高周波律動まで、あらゆる帯域の生態信号がダイナミックに「共振動 (oscillation)」しており、広帯域皮質脳波により運動関連皮質におけるダイナミックな生態信号が「可視化」できるようになった。本研究は広帯域皮質脳波データを用いた脳機能マッピングを実施し、皮質電気刺激マッピングの代用としてのマッピング精度を検証することを、多施設共同研究の立ち上げとして、実施している。広帯域皮質脳波データの臨床的な実用性が明らかとなれば、非侵襲的な脳機能マッピングの手法としての確立、また生理的な脳機能の同定、さらには切除後の脳機能温存の予後予測などの研究に展開できる可能性がある。本手法の有効性と臨床での実現性について本研究では検証する。単施設での検証に加えて、多施設での再現性の確認を要するため、関連学会(日本てんかん学会や日本臨床神経整理学会など)に参加し、研究協力を呼びかけていくことを継続する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナ感染症の感染拡大の影響で学会発表等がオンラインとなり、多施設共同研究の研究呼びかけが難しい状況もあった。引き続きの参加協力の呼びかけを行い、また自施設での症例蓄積も継続していく。
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今後の研究の推進方策 |
さらに幅広く研究協力施設を検索するために、ウェブを介したセミナーを主宰し、脳波研究への参画を呼びかけるなど様々なアプローチを予定している。自施設での症例蓄積を中心に進めている。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナ感染症の感染拡大の影響で学会発表等がオンラインとなり次年度使用が生じた。追加の症例収集及び成果発表に当てていく予定である。
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