研究実績の概要 |
当該研究の目的の1つの『パーキンソン病(PD)およびパーキンソン症候群(PS)のヒト血漿中脳細胞由来エクソソームに含有される疾患特異的蛋白の測定』において、疾患特異的候補分子の同定に取り組み、1つの研究内容を論文投稿し、1つの研究を実施している。 PDの炎症性マーカーとして、Leucine-rich α2 glycoprotein (LRG)の測定を前年度実施した。PD患者群および疾患対照群において、血清中の濃度測定を実施した。結果として、PD群では、疾患対照者群より、PDの背景因子(年齢、併存症、血清CRP濃度)に因らず、血清LRG濃度が高いことが証明でき、LRG濃度はPDの重症度(Hoehn & Yahr分類、MDS-UPDRS part III)と有意に相関することを報告した。この内容は、国際雑誌に掲載された。 診断マーカーになることを証明した。この内容は現在、国際雑誌への論文投稿中である。 第二として、PDの腸管バリア機能の指標として、血清中のzonulinに注目し、PD患者および対照者の血清濃度を測定した。結果としては、PD群と疾患対照群との間に有意差は認めず、臨床パラメーターや他のサイトカイン(TNF-α, IL-13, IL-4, IL-10, IL-6, IL-2, TNF-β, IFN-γ, IL-12p70, APRIL, BAFF, sCD40L)の血清中濃度と有意な相関は認めなかった。しかし、対照群におけるzonulinとLRGやCRPとの相関は認めており、他の炎症性マーカーと組み合わせることで、PDにおける腸管炎症のマーカーの1つとなる可能性も示唆された。この内容は国内学会での報告を予定している。
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