研究課題/領域番号 |
20K16606
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研究機関 | 奈良県立医科大学 |
研究代表者 |
江浦 信之 奈良県立医科大学, 医学部, 助教 (30745360)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | ヒト脳オルガノイド / Mowat-Wilson症候群 / ZEB2 / 神経発生学 |
研究実績の概要 |
ZEB2(Zinc finger E-box-binding homeobox 2)遺伝子欠損により生じるMowat-Wilson症候群(MWS)の病態機序解明・治療法開発に向けて,脳オルガノイドを用いた疾患モデルを作成し,その表現型を解析することを目的とした.昨年度,申請者はCRISPR/Cas9を用いたゲノム編集を行い,ZEB2ノックアウト(KO)ヒトES細胞を作製し,そのES細胞を用いて大脳皮質オルガノイド(CO),脳幹オルガノイド(BSO)を樹立,定量PCR,免疫組織化学を用いて評価した.今年度(2021年度),申請者はWT-BSOとZEB2KO-BSOを用いて一細胞RNA sequencingを行った.その結果,ZEB2-KO BSOでは,pluripotencyや,神経堤細胞の移動に関連する遺伝子群の発現がWT-BSOと比較して低下していた.また,表現型として見られた特異的な所見を反映する遺伝子発現の低下も確認された.これらの所見は,ZEB2遺伝子の欠損に基づくMWSの病態を反映したものと考えられた.一方で,ZEB2-KO BSOではWT-BSOと比較して,ある遺伝子群の発現が増加しており,これはMWSの臨床的特徴を反映するものであると考えられた。以上から,ZEB2-KO BSOは,Mowat-Wilson症候群を再現する疾患モデルとして有用であると考える.引き続き,pseudotime解析を含めた詳細な検討を行っている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
一細胞RNA-sequencingによるZEB2KO-BSOの形質評価を進めることができている。
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今後の研究の推進方策 |
RNA sequencingを含むマルチオミックス解析を進めていく.
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度中予定していたRNA-seqまで至ることができず,次年度繰り越しが生じた.次年度に進めるオミックス解析で使用する予定としている.
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