研究課題/領域番号 |
20K16610
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研究機関 | 東京女子医科大学 |
研究代表者 |
加藤 環 東京女子医科大学, 医学部, 講師 (60841492)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 脊髄性筋萎縮症 / 遺伝子型と表現型 / SMN1 / 点変異 / SNV |
研究実績の概要 |
脊髄性筋萎縮症(SMA)は近年治療薬の開発が目覚ましく、治療可能な疾患となった。そのため、治療の適応を決める遺伝学的解析の重要性がより高まっている。SMAの多くは遺伝子欠失を示し臨床的に利用可能な多重連鎖反応依存性プローブ増幅法(MLPA)で診断されるが、微小変異を示す例は診断が容易ではない。さらにSMAの原因遺伝子領域におけるSNV(single nucleotide variant)を臨床症状、治療反応性との関連は全く不明である。申請者らの共同研究グループでは、long-range PCRを使用してSMN1遺伝子の全長と融合遺伝子を解析する方法を報告した。本方法に次世代シークエンサーの手法を加えて解析を進める。 本研究は、SMN1遺伝子の欠失、変異のパターンの特性を明らかにして、SMAの重症度の予測、治療薬の効果の予測を可能とすることを目的としている。 3年の研究期間で、SMN1遺伝子exon/intron 1から8の欠失/変異のパターンの特性を明らかにする。 1年目にあたる昨年度は、まずこれまで当科の研究室で(2019年5月衛生検査所登録)SMN1領域の多重連鎖反応依存性プローブ増幅法(MLPA)を行った症例を見直した。300症例を検討し、そのうち160例に対して、研究についての情報を提供した。そのうち70症例から同意を得ることができた。 同意を得ることができた症例について、次世代シークエンサーを用いたSMN1遺伝子のSNV解析を開始している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
3年の研究期間で、SMN1遺伝子exon/intron 1から8の欠失/変異のパターンの特性を明らかにするよう計画を立てた。計画では、1年目の前半にこれまで当科の研究室で(2019年5月衛生検査所登録)SMN1領域の多重連鎖反応依存性プローブ増幅法(MLPA)を行った症例に改めて、研究についての情報を提供し、同意を得る。1年目後半及び2年目に、同意を得られた症例の解析を行う。2年目後半から3年目に解析結果を基に、疾患の重症度との関連性、薬剤反応性について検討する3年目に成果中間発表を行い、検討の方法について知見を得る。4年目に、解析結果の開示を希望した症例に結果を報告する。また、最終成果についても学会及び論文発表する。このような計画の中で、本年度は、当初、COVID19流行のために、受診を控える傾向があったため、対面で研究参加の同意を得ることが予定よりも難しかった。そのため、説明同意文書を郵送しご同意いただける場合には返送いただくようにした。その結果、76症例から同意を得ることができた。そのうち55症例で解析を実施した。したがっておおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
本年度(2年目)前半は、残りの21症例の解析を実施する。本年度後半から3年目に解析結果を基に、疾患の重症度との関連性、薬剤反応性について検討する3年目に成果中間発表を行い、検討の方法について知見を得る。4年目に、解析結果の開示を希望した症例に結果を報告する。また、最終成果についても学会及び論文発表する。
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次年度使用額が生じた理由 |
COVID19の影響で、学会などがonlineとなり、旅費が必要なくなり本年度は使用しなかった。 また、研究参加同意を得るための診療が延期となることが多く、参加同意を確認することに時間がかかった。そのため、年度後半に行う解析の開始が遅れたために、予定よりも解析完了症例数が少なかった。次年度に残りの解析を行う予定としており、解析に必要な物品費として使用する。
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