研究課題/領域番号 |
20K16618
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
田村 赳紘 東京医科歯科大学, 医学部附属病院, 助教 (70793876)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | depression / dopamine / dopamine transporter / texture analysis |
研究実績の概要 |
本年度は、主にデータ収集と画像データの処理を行った。しかし、本研究の主たるテーマであるテクスチャ解析や、その意義を示すための統計学的解析はまだ実施できておらず、主たる解析に向けた統計手法についての検討、データの前処置等、準備期間に充てた。 まず、データ収集については、2016年1月1日から2021年3月31日までの期間を対象とし、東京医科歯科大学医学部附属病院精神科にてうつ病、双極性感情障害、器質性気分障害、統合失調感情障害、適応障害と診断され、DAT-SPECTを施行された患者184例(延べ数)をリクルートした。臨床情報(年齢、性別、精神科診断名、抑うつ状態の重症度、抑うつ症状の詳細(スケールに準拠)、DAT-SPECTの結果に影響を及ぼし得る薬剤の服薬の有無、パーキンソン病および関連疾患の診断の有無)、画像データ(DAT-SPECT、MRI)をそれぞれ収集した。 画像データの処理については、前出のようにテクスチャ解析は実施せず、予備的解析のみ行った。具体的には、DAT-SPECTデータを対象とし、VBM(Voxel Based Morphometry)を統計画像解析パッケージであるSPM12(Statistical Parametric Mapping)を用いて行った。同様の解析を国立精神・医療研究センター病院より提供を受けた健常者40例のデータに対しても行った。これはテクスチャ解析とは異なる手法、およびその比較対象となる従来法という位置付けで行ったものである。 また、同一患者において抑うつ状態の治療前後でDAT-SPECTを施行した症例(10例程度)を抽出し、全体での解析に先行して主たる解析を開始したところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度は、COVID-19の大規模な流行による再三の緊急事態宣言発令等によって研究を中断せざるを得ない時期があったことに加え、これらに関連した研究環境の予期せぬ変化もあり、申請時に想定していたものより進捗状況はやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
所属する研究機関においては、今もなおCOVID-19流行に伴う混乱は部分的に残存しているものの、今年度1年間の経験を基に感染流行下でも一定水準の研究活動を維持できるような環境整備が進められた経緯がある。それに伴い、次年度以降は安定した研究対象者のリクルートならびに主たる解析の実施ができることを見込んでいる。 また、収集した患者データと健常者データの平均年齢に一定の差がみられることから、先行研究にエントリーしている他施設の健常者データの提供を受けることも検討中である。
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次年度使用額が生じた理由 |
初年度に画像解析ならび統計解析を行うための高機能PCならびにソフトウェアを複数購入予定であったが、COVID-19流行に関連した研究中断や研究環境の一時的な変化の影響を受け、上記物品の購入を次年度に変更したため。また、参加予定の学会がオンライン参加となったことや学会参加そのものを辞退した関連で旅費の出費が減少したが、需要の増大が続くオンラインミーティング・学会参加に必要なデバイス等の購入に充てる予定としている。
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