2020年度より新たな医師臨床研修制度が開始となり、精神科は4週以上の研修が必修となった。本研究は、精神科での研修を通して、研修医にどのような教育効果が生じているのかを、多角的な見方で明らかにすることを目的に行った。 2020年4月から2年間にわたり、長崎大学病院の精神科をローテートする研修医に対して、ローテート開始時と終了時に質問紙調査を実施した。調査内容は精神疾患に対するイメージを問う質問紙(Semantic Differential法)、精神科関連の臨床研修到達目標に対する主観的な理解度と初療に当たる際の自信を問う質問紙(自作のスケール)、多職種連携に対する準備状態を問う質問紙(Readiness for Interprofessional Learning Scale日本語版)の3種類である。2020年度は51名の研修医から回答を得た。合計で99名の研修医から回答を得た。 精神疾患に対するイメージについては、2020年度と同様に、「明るい」「安全な」「身近な」「こわくない」などのイメージが、研修することで有意に強くなっていた。研修到達目標に対する理解度や初療に当たる際の自信は、すべての項目において研修後に有意に向上していた。多職種連携に対する準備状態については、「チームワークとコラボレーション」のサブスケールにおいて、研修後に有意な向上を示した。 精神科をローテートすることで、研修医は多面的な学びを得ていることが明らかとなっており、精神科研修の必修化は意義深いものであり、臨床研修制度と医師養成に大きく貢献できるものであると考えられた。
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