親哺育・人工哺育の恐怖反応の実験では、人工哺育個体で恐怖反応が強いことは確認できたが、表出する恐怖反応に大きく差があり、結果のまとめに難航している。解析方法を検討し、他の結果と並行してまとめる予定である。 新生児を生後7日齢で隔離し、2日後に親に再会させ活性化脳部位を検出する実験においては、隔離の翌朝から鳴き声が減少することが確認された。一晩隔離されることで自身の状況を理解し、体力を温存するために鳴かなくなる可能性が考えられた。脳部位の染色に関しては成体に比べて染色が難しかったため、同様の実験を生後半年から1年のjuvenile個体で実施し、染色条件の検討と結果の比較を行うようにしたため、新生児の脳の染色は遅れている。しかし、juvenile個体での隔離・再会・脳染色の結果から、再会時には母親との接触や両親との遊び行動が増加することや、隔離2日目には1日目に比較して家族との接触を試みる行動が減少すること、海馬台が両親との再会時に活性化していることが判明した。3年目の最後に海馬台へAAVを注入しDREADDを発現させた個体を対象にDCZと溶媒を投与して隔離する実験を行った。現在その結果を解析しており、終了次第juvenileの一連の実験をまとめて論文とする予定である。また、新生児の脳染色も結果が得られつつあるため、こちらも終了次第論文としてまとめる予定である。 新生児の脳にAAVを注入・DREADDを発現させる実験も行う予定であったが、先述のように活性化脳部位の染色が難航していたため実施することができなかった。しかし、juvenileでの実験を行うことができ、新生児との比較や染色方法の検討を行うことができたため、結果としては十分なものが得られたと考えている。
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