研究課題/領域番号 |
20K16642
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
里村 嘉弘 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 准教授 (40582531)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 小児期逆境体験 / ACEs / うつ病 / 大うつ病性障害 / NIRS / MRI / トラウマ / 気分障害 |
研究実績の概要 |
オリジナルACEs指標の有用性を検証するため、カルテを後方視的に調査し、患者群、あるいは、うつ病群、双極性障害群、統合失調症群の3つの診断群におけるACEsの存在率を算出した。、調査対象となった536人の患者のうち246人(45.9%)に少なくとも1つのACEが認められ、各疾患群でACEを1つ以上持つ人の数は、うつ病群で155人(43.5%)、双極性障害群で74人(50.3%)、統合失調症群で17人(51.5%)であった。合計246人が少なくとも1つの該当するACE体験を有していたが、これらの個人の体験がいくつの質問に該当するかを調べたところ、150人が1つ、60人が2つの、19人が3つ、9人が4つ、8人が5つのACEを有していたことがわかった。ACEsの発生源と内在化の経路についても調査したところ、すべての疾患群において、[水平的-心理的(侵襲)]の経路の割合が最も多く、ACEを1つ以上有する者のうち、約60%を占めていた。 また、2021年度は15名の研究協力者が新たに参加し、近赤外線スペクトロスコピー(Near-infrared spectroscopy: NIRS)を施行し、オリジナルACEs指標を含む各臨床指標の取得を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
包括的かつ精緻な新規ACEs他者評価指標の開発については、信頼性・妥当性の検証を行い、論文化の準備を行っている。また、脳画像指標との関連解析を行うためのデータセットの作成も順調に進められており、概ね当初の予定通り進展している。
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今後の研究の推進方策 |
ACEsと脳画像指標のとの関連解析と、ACEsが予後に及ぼす影響についての縦断的解析を進めていくため、データセットの作成を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定していた学会への参加を見送ったこと、また、研究協力者のリクルートの制限により、実支出額が想定を下回った。次年度は、学会の参加を検討し、研究協力者のリクルートの強化を行う。
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