研究課題/領域番号 |
20K16647
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
中神 由香子 京都大学, 学生総合支援機構, 助教 (60866185)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 統合失調症 / 自己抗体 / ミトコンドリア |
研究実績の概要 |
統合失調症は幻覚や妄想といった精神症状を引き起こす精神疾患である。統合失調症の病態は完全には解明されていないが、自己免疫異常との関連が一部に示されている。研究者は、これまでに、ピルビン酸脱水素酵素複合体(PDHC)の構成成分であるPyruvate Dehydrogenase E1 Subunit Alpha1(PDHA1)に対する抗体が一部の統合失調症患者の血清中に存在することを発見し、2020年に世界で初めて報告した。 2020年の報告では、抗PDHA1抗体の有無を評価する方法としてウエスタンブロッティング法を用いていた。昨年度は、抗体の有無だけでなく抗体価を評価するため、Enzyme-Linked Immunosorbent Assay(ELISA)の構築を行い、統合失調症患者群、健常群、各群約100名について、抗PDHA1抗体の抗体価を、抗体アイソタイプ(IgG、IgM、IgA)毎に、評価した。また、抗体陽性者の抗体価を経時的に評価するために、縦断的に血清サンプルの取得も行った。 今年度は、ELISAを用いた抗体価評価の精度を高めることを目的に検討を重ね、誤検出の原因となる非特異的反応に一つずつ対処した。これまでに得られた抗PDHA1抗体価について、より精度の高いELISA法で再評価を行い、必要に応じて統計学的解析を追加することを追加で予定している。 抗体の病的意義を明らかすることができれば、抗体が陽性となる患者群に免疫学的治療が有効となる可能性が生まれる。そして、将来的には、新規治療薬開発も期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
昨年度までに構築したELISAを用いて抗PDHA1抗体価を評価していたが、非特異的反応へ対応するなど、ELISA測定法の精度を高める上で追加の対処が必要となったため。
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今後の研究の推進方策 |
検査対象(対象疾患、人数)を拡大して既に取得している検体に対して、より精度の高いELISA法を用いて、抗PDHA1抗体価の評価・検討・統計学的解析を行っていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナ感染症の影響で検体の取得に遅延が生じたため。
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