PTSDモデルであるSPSラットにおける恐怖記憶の消去障害に関する海馬の脳由来神経栄養因子(BDNF)低下の機序を解明することを目的とした。恐怖記憶消去訓練後2時間の時点でBDNF mRNA発現はSPSラットで有意に減少しており、その機序としてBDNFプロモーターⅣのH3K9ジメチル化亢進が示唆された。また、ヒストンメチル化酵素の阻害薬の投与で、SPSラットの消去訓練後のBDNF発現低下の回復や恐怖記憶の消去障害の改善が認められた。以上より、SPSラットの恐怖記憶の消去障害の機序として海馬におけるH3K9メチル化変化を介したBDNF遺伝子の発現調節の関与が示唆された。
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