研究実績の概要 |
気分障害患者を対象とし、4週間の高照度光療法が脳に与える影響を、機能的画像である18F-FDG-PETと、構造的画像であるMRIを用いて精査している。書面にて同意を得られた気分障害患者を高照度光照射群(10,000 lux, 30min)と低照度光照射群(50 lux, 30min) に無作為に割り付け、照射前後でMRIによる画像評価を行った。高照度光照射群11例、低照度光照射群10例でMRI解析を行った。MRIの脳画像解析は、SPM12を用いた。クラスターレベルでFWE補正でP<0.05を有意とした。なお、本研究は当大学医学部の臨床研究審査委員会にて承認を得た。群間と照射前後の交互作用はFlexible factorial modelを、群内の照射前後の変化はPaired t-testを用いた。群間と照射前後の交互作用に関して、ROI解析を行った結果、右上前頭回眼窩内側部で有意なクラスターを認めた(p=0.018)。また、高照度光照射群、光照射前後の体積を比較したところ、右上前頭回眼窩内側部の体積が変化していた(p=0.003)。一方、低照度光照射群においては、光照射前後で体積が変化している脳部位は認めなかった。今回の解析結果から、右上前頭回眼窩内側部が気分障害患者に対する高照度光療法の作用点である可能性が示唆された。本結果は、2021年1月に開催された、日本うつ病学会において、「気分障害患者に対する高照度光療法と脳画像研究」という演題でポスター発表を行った。
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