研究実績の概要 |
気分障害患者を対象とし、4週間の高照度光療法が脳に与える影響を、機能的画像である18F-FDG-PETと、構造的画像であるMRIを用いて精査している。書面にて同意を得られた気分障害患者を高照度光照射群(10,000 lux, 30min)と低照度光照射群(50 lux, 30min) に無作為に割り付け、照射前後でMRIによる画像評価を行った。高照度光照射群12例、低照度光照射群12例でMRI解析を行った。MRIの脳画像解析は、FreeSurfer 7.1.1を用いてhippocampal subfield segmentationを行うことで海馬歯状回体積を算出した。統計解析にはSPSS ver 27を用いた。なお、本研究は当大学医学部の臨床研究審査委員会にて承認を得た。群間要因も考慮した前後変化(群×時間の交互作用)については、分割プロットデザインの二元配置分散分析を行った。群間内の前後変化に関しては、対応のあるt検定を行った。群間と照射前後の交互作用に関して、左海馬歯状回頭部にて有意(p=0.003)な結果が得られた。また、高照度光照射群におけ光照射前後の体積を比較したところ、左海馬歯状回頭部の体積が有意に増加していた(p=0.002)。一方、低照度光照射群においては、光照射前後で同部位の体積変化は認めなかった。今回の解析結果から、高照度光照射により左海馬歯状回頭部の神経新生が生じた可能性が示唆された。現在は、FreeSurferで解析したMRI画像を用いて、18F-FDG-PET画像の位置合わせを行うことが出来るPETSurferの解析を行っており、あわせた結果を今後論文化する方針である。
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