研究課題
若手研究
本研究では、成人期自閉スペクトラム症(以下、ASD)の特徴を性差や逆境的小児期体験、その他の特徴量を用いて検討を行った。本研究の成果として、ASDにおいて、逆境的小児期体験のなかでも小児期の性的虐待の経験は、成人期の事象関連電位に影響する可能性が示唆された。また、ロールシャッハ検査中の視線活動と機械学習モデルを用いてASDの特徴を検討したところ、ASDでは他の関心領域へ視線が移行する際の視線速度が、健常成人と比較し遅くなることが示された。
神経発達症
これまでに自閉スペクトラム症(以下、ASD)を含む神経発達症の患者において逆境的小児期体験の高さは報告されてきた。本研究において、逆境的小児期体験、なかでも性的虐待が成人期ASDの脳機能に何らかの影響を及ぼし得ることが示されたことは、今後のASDの診断、治療の一助となりうることから学術的、社会的意義は高いと考えられる。また、これまでに示唆されていなかったASDの特徴が得られたことは、今後のASD研究の発展に寄与することができると考えられる。