研究課題
若手研究
本研究課題では、行動経済学的手法とMRIなどを組み合わせて、自閉スペクトラム症(ASD)における意思決定や行動選択の柔軟性低下について調査した。ASD群では、定型発達群と比較して、処罰が関係する場面で、集団間バイアスが低下していることが示唆された。また、利他的な協力行動において、共感性との関係を検証することが、疾患特異性を探る上で重要であることが支持された。さらに、心の理論と認知的柔軟性の共通した神経基盤に、右中前頭回と側頭頭頂接合部を中心とした脳領域が重要な役割を果たしていることが示された。
精神医科学
本研究課題を通して、ASDの意思決定や行動選択における柔軟性低下を多角的に検証した。共感性や注意機能、右中前頭回と側頭頭頂接合部を中心とした脳領域の重要性が支持された。本研究成果を、ASDの異種性の観点からさらに深く検証することで、同疾患群の効果的な心理社会的介入、新規治療法を検討する基盤につながることが期待される。