研究課題
気分障害(双極性障害、うつ病)では、遺伝子発現、液性調節、行動といった様々な水準における概日パターンの変化が確認されており、概日振動変化がstate markerやtrait markerとしての役割を有することが示唆されるが、その系統的な理解には至っていない。我々は行動レベルの概日指標として、時間感覚の概日パターンが治療効果と関連し、また時間感覚の個人特性が気分障害のtrait markerとされる抑うつ的認知と関連することを先行研究で確認している。近年、脳構造自体が日内変化を示すことが明らかにされ、気分障害の新たな概日指標としての生理学的及び臨床的意義が示唆されるが、詳細は明らかとなっていない。本研究は、脳表面形態計測法等の磁気共鳴画像(MRI)手法を用いて構造的可塑性の日内変化をとらえ、気分障害の症候、治療反応性、高次認知機との関連を検討することにより、構造的可塑性の気分障害の病態生理に果たす役割の一端を明らかにし、臨床的示唆を得ることを目的とする。本年度は、コロナ禍で研究活動が制限され、MRI撮像や行動・生理学的実験の実施、関連学会への参加等が困難となった。診療活動の制限により、研究参加者の確保も困難であった。このため、研究計画を見直し、既存MRIデータの二次解析を実施した。その結果、健常成人において、気分調節に重要な役割を担うことが知られる前帯状回との機能的結合に有意な日内変動を示す脳部位が予備的に確認された。
4: 遅れている
コロナ禍で研究活動が制限され、MRI撮像や行動・生理学的実験の実施、関連学会への参加等が困難となった。診療活動の制限により、研究参加者の確保も困難であった。このため、研究計画の見直しが必要となり、時間を要した。
コロナ禍における研究活動方針が施設内で整備されたため、当初の研究計画に可能な限り近い形で研究を推進する。実験手続きの簡略化を図り、参加者数を効率的に確保できるよう工夫する。MRI指標以外の脳機能指標の導入も視野に入れた柔軟な運用を心がける。
コロナ禍で研究推進が困難となり、計画の見直しを行ったことに伴い、次年度に交付金の使用を持ち越した。
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